夢にも現るロンモンドギニアス 「頼んます!カノンに会わして下さいよ!」 「俺も頼んだけど駄目だった〜w」 「殿下は謹慎中の為、必要以上の面会は陛下の命により禁じられています。戻りなさい。」 この通路より先は兵士により立ち入りを制限されていた。 これは謹慎というより軟禁なのではないか?…さて、アルカディルに追い出された2人は困って、考え込む。 揃いに考え付いた事は、下劣な手段だった。 まず、殿下の部屋へと向かうメイドを捕まえる。 「ん!?」 「ちょっとお願いがあるんだけどな〜w」 「は、はい!何でしょうか?」 メイドを後ろから襲い、谷間辺りに手を付けるシア。 首筋から顎、唇へと上る。 「この手紙もカノン殿下に渡して欲しいんだ〜。」 「あん/////…いけません!その様な行為は固く禁じられていま…きゃっ/////」 「あれ〜?お姉さん、触られただけで感じてる〜w」 「エロっw抱いてやろーか?」 アサトは上着を右肩、左肩と脱いだ。 メイドの股を不気味に笑って、下唇をぺろっと舐めてターゲットを捕捉する。 「お止め、くださいぃ/////」 「やれってか?舐めてやるよw」 …。 ……。 ………。 …………。 で! 「じゃあよろしく〜♪」 「頼んだw」 「承知いたしました。お預りします。」 胸元に手紙を隠して持っていってくれた。 簡潔に、マルシャの呪いの深刻化とその術を操っていると思われる人物の名前を書いたが、ただの報告にしかならないだろう。 謹慎中だから。 シアは今日はここに泊まる。 アサトは呪術者を探しに旅立っていった。 手紙を無事に受け取ったカノンは早速目を通していた。 「……。通路には兵士が何人居る?」 「3人でございます。」 「わかった。もういい、下がれ。」 「はい。失礼いたします。」 ソファーに座って溜め息を吐いた。 通路からの脱出は不可能、窓からも厳しい。 そして極めつけは数時間に一度、アルカディルが仕事を言いつけにやってくる。 マルシャが何とか無事ではいると言うことが聞けてよかったのだが、心配ではあった。 (脱出ルートは………思い付かない。いつまで閉じ込めておくつもりだ、あの馬鹿親父は。) 今日も陛下の代わりに書類に目をとおし、判子を押す仕事をさせられていたが、多分【今日も】が嫌ってぐらい続くのだろう。 すぐに夜はやって来て、夕食の時間となり、陛下と顔を合わせるのが憂鬱で部屋に運んでもらったが、手付かずで返す。 身の回りの世話をするメイドがシャワーの用意をし、出てきた彼にタオルを渡した後、カノンの就寝用の服を持ってきて、着替えの手伝いをした。 そのメイドは不審に、上をチラ見する。 「……天井が、どうかしたか?」 「…いいえ。綺麗なシャンデリアについ目がいってしまいました。申し訳ありません。」 「下がれ。」 「かしこまりました。おやすみなさいませ、カノン様。」 変なメイドだ。 ベットに入り、考える事はマルシャだけ。 寝付けたものではない。 あの辛い毒に耐えている姿を想像しただけで心配になる訳は、自分が体験者だから。 ようやく眠れたカノンは、その日夢を見た。 目を開けないほどの光があって、それが問い掛けてくるのだ。 『歴史の眼が心配?』 「おまえは…ロンモンドギニアスか?」 『歴史の眼は永遠の命。心配はいらないよ。粒子化が起きてもその内生き還ることができる。その時カノンは生きていないけどね。』 「それじゃあ、駄目なんだよ。」 『僕の力だったら、あんな呪縛すぐ消すことができるのに。カノンはまだまだだね。』 「……腹立つロンモンドギニアスだな。」 『事実さ。カノンが強くなったら僕の力を貸してあげる。だから今は自分の力でどうにかしてみて。』 「言われなくても。俺の力で護るって決めたんだからな。」 見知らぬロンモンドギニアスと会話したカノン。 朝に眼を冷ますと不思議な気持ちだった。 シャワー、着替えを済ませ、朝食。 さぁ、仕事だ。 【前n】/【章n】/【次n】 |