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☆とけてしまいそう
検査に向かう。
念のためにミチルの身体の血液検査をしたりするのだ。
白いベットに座ると、白い服を着たヒトが針…注射器を向ける。

「…ひぅ!」

「注射は嫌いかな?痛くない痛くない。」

「……やぁー!」

隣の部屋に居たカノンに悲鳴が聞こえた。
小窓を覗くと、注射を拒むミチルが見える。
助けてやりたいが大事な検査、邪魔はできない。
針を近付けるが腕は遠退く、それを繰り返していたら検査員は呆れてしまって保護者を呼んだ。
カノン様っと振り返った瞬間に針は腕に刺さって透け赤い血を抜き取った。

「いうぅっっっ。」

「はい、終わり。次はそこに寝て下さい。100%痛くないです。」

「は…ひっ!にゃーっっ!」

聞き慣れない悲鳴は機械の中に運ばれた。
彼を椅子に座って待つ事数分、シアが何枚かの紙を持ってくる。
結果だ。

「凄いよ〜コレ。どれもこれも異常な数値ばっかり〜。」

「…………間違いはないんだろ?」

「自信はあるかな。彼ってさ〜、興味深い生態だよね〜。」

「…。」

「ニチカも…こんな感じだったな〜。」

数値が意味するのは何なのか。
それは一般人には言えない。
言ったとて信用してもらえる話ではないから。

「それでも俺は…「はひー………。あ、シア様…昨日はご迷惑を…。」

「全然〜w検査結果もいいみたいだしよかったよ〜w仕事の続きがあるからまたね。」

ステルメークには優しいヒトが沢山居る。
もうグランゲールになんて帰りたくないと感じ始めていた。
検査を終えて部屋に戻ると甘い香りがして見てみると、テーブルに色とりどりの食べられそうな物が乗っていて、これが匂いの震源地だ。

「これは何ですか?」

「ケーキ。全部オマエの為に用意させた。」

「これがけぇき……。」

真っ白い三角に赤い果実が乗ったケーキを素手で掴んで口にする。
口いっぱいに広がる濃厚な甘味、ふんわりと柔らかいパン、甘酸っぱい赤の宝石は絶妙なバランスで絡まっていた。
あまりの美味しさで一個をペろりと平らげた。

「美味いか?」

「はい、とっても美味しいw」

「…お約束だな。クリーム付いてる。」

ミチルの口の横に付いていた生クリームをペロッと舐めた。
甘い物は好きではないが、時と場合によっては好きになれる。

「あ、あぅ/////」

「嫌…か?」

「違う!…違うんです。ここがドキドキして…とっても苦しいの。」

左手で胸を押さえた。
その手の上にカノンの手が覆いかぶさる。



ドクン…



ドクン…




ドクン…




ドクン…




クスッと笑う。
相手の顎を支えて唇と甘い唇を合わせた。
鼓動が更に大きくなっていく。
ミチルは更に手を重ねて少しだけ力を入れた。

「……この感覚…これが【コイ】なの?」

「かもな。」

アストレイランドで開いた本に書かれた記憶通りとても素敵な気持ちだった。
このもどかしいドキドキ感が堪らない。
恋に恋したミチル。
今は胸いっぱいで、相手を間違えている事に気付けなかった。
ほんの少し…すれ違う。

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