☆前兆 毎日超寝坊のマルシャ。 彼の何時間も前に起きてしまうカノンは、毎朝剣術の稽古をし、シャワーを浴びて、ある食料で料理をした。 作り終えると2階に呼びに行く。 執事みたいだ。 「おい。」 「………んぅ?」 「お目覚めでしょうか。おちびさん?」 「おはようー…w」 「おはようじゃねーよ。早く起きろ。せっかく作った料理、冷める。」 「…はうー…wいい…にお…い……w」 「とりあえず立て。」 「…あーうー。」 鼻ちょうちん膨らませてそう。 髪の毛が寝癖で跳ねまくる。 カノンの服の裾を握って1階へと降りた。 美味しそうな匂いを前にしても、眠気には負ける。 「食わないなら捨てちまうぞ。」 「んーん。」 食べる。 自分で作るよりも凄く美味しい。 でも眠くて頭を揺らしながら口に運ぶという、器用な真似をした。 ふと、カノンは気付く。 マルシャの頬がリンゴみたいに赤くなっている。 「熱があるんじゃないか?」 「これ…熱じゃない。みんなが頑張ってる証拠だよ。」 「?」 「マルシャが選んだヒト達、みんな生きようって頑張ってる。」 立ち上がり、椅子から膝へと乗り換えた。 そして耳を付けて音を聞く。 トクン…トクン…。 「何だ?」 「みんなのココに、マルシャがあるの。ほんのちょっと力をあげただけなのに。みんな生きててよかったって、もっと頑張ろうって思ってくれてる。信じてよかった。」 「とんでもないお人好しだな。自分の体力わかってんのか?」 「わかってるようw後30人は助けられるかにゃw」 「わかってねぇ…。正直、今ダルいだろ。」 「だるい?」 「疲れてる。」 「ぜーんぜんだよ。」 「嘘つきなのはこの口か?」 「…んぅw」 キスの口実。 2人だけの世界は、新婚生活みたいだ。 長く触れていると眉間にシワを寄せるマルシャ。 息はすぐに上がった。 「キスでこんなんだったら………。」 「ん…だったらー?」 「どうなるんだろうなァ?」 「えー?」 「試してみる?」 「うん♪」 「バァカ。今日は寝とけ。」 マルシャは二階へと上がった。 ベットに寝るけど、ここよりもカノンの膝の上が心地がいい。 しかし贅沢は言わず、今は大人しくしていよう。 これからもっともっと力を使わなければならない場面があるから。 倒れてなんていられない。 【前n】/【章n】/【次n】 |