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アレってドレ
食べてため息。
食べてため息。
マルシャはフォークを置いた。

「はぁ…。」

「……オマエって、まともな料理作れんだな。…意外。」

「…ふえ?カノン!?まだ居たの?!」

「夜の森をさ迷い続けるのは御免だ。…ひとりにしておくのも…その……アレだし。」

「アレでもダメだよう!………アレって…何?」

息が逃げるのはこっちの方だ。
直接話すのはガラじゃない。
心配だの一言は面と向かって言う言葉ではないと思う。
もうひとつアレがあって、ただ一緒に居たいだけだ。

「一々聞くな。…エルネキア族から非難されようが、俺には関係ない。色々話したいし…ここに置いてくれないか?」

「………ペル兄様に凄く怒られちゃうよ?」

「構わない。」

「カノン…w」

「しかし…寂れた家だな。ひとりで住んでたんだろ?…水も火も、魔晶石か?」

「うん。…でもまだ未完成の応用技術だから…たまに暴発しちゃうの。」

そのペル兄様と呼ばれるペルセウスの事が一番気になった。
兄弟というにはどこも似ていない。
後々聞くとして、カノンはフォークを取って見た目がアレなパスタを口にした。

「……ん?」

「…美味しく…ない?」

「……不味くはない。が……んー…。」

不味くはないが、何故か止められない味。
美味しいと言うには程遠い。
マルシャは少々落ち込んだ。

「……。」

「あ…いや……パスタの硬さが丁度いい。…野菜も、ん…それなりに。」

「本当?明日はちゃんとカノンの分も作ってみるねw」

「あぁ…楽しみだ………。」

夜飯をこんなに食べたのは凄く久々だ。
何となく具合が悪い。
それにしても、静かな夜だ。
ろうそく生活も意外といいかもしれない。

「カノン…あのね、ベットがひとつしかないの。お布団も枕も、ソファーもなくて…。」

「気にすんな。一緒に寝ればいい。」

「…一緒…いいの?!」

「…?あぁ。」

激しく嬉しい。
食器を片付けて、ろうそくに照らされた階段を上る。
カノンはベットに転がった。
手を広げようとすると、直ぐ壁にぶつかる。

「ごめんなさい…狭くて。」

「狭い方がいい。来い。」

密着。
少しズレれば落ちてしまう。
そうならないようにカノンの腕が支えてくれた。

「…あう……/////…近い。」

「そうか?オマエ抱いてると落ち着く。」

「あうわわわ…/////」

「心臓、バグついてるぞ?」

息のタイミングがわからなくなる。
眠れそうにない。

「……/////」

「緊張してんのか?マルシャの分際でw」

「だって…カノンにこーやってぎゅってされたの……久しぶりだったから。」

「…言われてみれば……そうだな。…癖になりそうだ。」

「いいよ?癖になっても。……癖になって欲しい。カノンのここ、安心できるの。」

何でもいい。
ペットでも奴隷でもいいから、たくさん愛して。



いっぱい愛して。

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