感謝祭 屋根の上が好き。 でもこの好きも、違う。 これはミルクとおんなじだ。 隣のホームが楽しそうで、覗いてみると、女性たちがきゃっきゃと戯れていた。 「何してるのかな…。」 近付いて、木の陰から見てみる。 女性たちの話を盗み聴き。 話を聞いていると、明日は何か特別な日らしい。 どんなのかが気になったマルシャは、ニチカの部屋の窓をバンバン叩く。 「な?!何何何?!」 「隣のヒトたちがかんしゃさいって言ってた。」 「?……あw明日感謝祭だっけ。」 「何?かんしゃさいって?」 感謝祭とは名前の通り。 女神エイレネを信仰するヒト達の行事だったが、今は信仰しないヒト達にも定着しつつある。 日頃の感謝の気持ちを、物で表す日だけど、どこで違ったのか、若者の間では自分の気持ちを伝える日になっていた。 「…明日はご馳走作ってあげようかな。でもお金ないしなー…。」 「そっか!わかったです!!」 「何が?」 「カノンに返事、わかったです!」 「本当に?!…何て言うのさ?」 「秘密ですw」 この気持ちは多分、と確信に似た思いになる。 明日、返事をしようとマルシャは意気込んだ。 【前n】/【章n】/【次n】 |