エルネキア族
「遺跡内部を調べてみるしかないね〜♪」
「シアさん…嬉しそ。……マルシャ、落ち着いた?」
「……。」
カノンのベルトを引っ張って歩く。
まだ余韻が残ってる。
もう少しで、思い出せる気がした。
でも知るのがなんだか怖くて、無意識に記憶を制御している事など、本人は知るに至らない。
いずれ灯がなくても見えるようになってきた。
「この模様…エルネキア族?劣化はしてるけどそんなに古くないな〜。お〜w魔晶石のランプがそのまま使えそ〜…ニチカ!」
「な、何さ?!」
「雷頂戴、雷〜wカスるだけでいいよ〜。」
雷がニチカの属性。
引き金を引いて“気”を集中させた。
バチバチと纏わりつく。
静電気が凄くて、手入れをろくにしないシアとマルシャの髪の毛は徐々に逆立つ。
銃の前に魔法陣を描き、一発掠めてみせた。
一つ灯ると、手前から順番に光り出す。
やっと明らかになったエルネキア族の遺跡。
「…街…なのか?」
「だったみたいだね〜wうわ〜wちょっとレポート書かせて〜。」
「あんな、んな暇ねーよ。今日中に出られるかわかんねーのに。」
「行っちゃった…。シアさんって…マニアなの?」
「あーなりゃ誰にも止めらんねーんだ。」
「…シアは任せろ。先に行ってていいぞ。」
「そうするしかねーな。タレイアん傷も化膿しちまったら大変だし。」
「こんなの!…なんともないんだからぁ。」
「外に出たらすぐ治療してもらえ。ニチカ、マルシャを頼む。」
ニチカに手を繋いで貰う。
ぼけーっとしたまま帰還組みと一緒に出口を目指して行った。
シアときたら、あっちを調べこっちを調べ、調べてはレポートに書き、を繰り返す。
(1日じゃ終わんないな…。……暇だ。)
塀らしき瓦礫に座り、大股開く。
足元に発光体を見つけた。
それを拾おうとした瞬間、遠くに居たはずのシアが目の前に来る。
「お〜!w」
「?!」
「記録媒体!さっきあっちで機械を見つけたんだ〜。再生できるかも〜w」
さらけ出された装置の横に、発光体と同じ形の穴がある。
はめ込むと、自動的に起動し、記号と画像が浮かび上がる。
「………地図…セフィレイ大陸か?」
「この点滅してる印は何だろ〜?ん〜…グランゲール、ステルメーク、ラズリーの森、オリゲート、スタークエイク海域、ラステス…あ〜消えた。」
「また何か映って……?!」
宝石が映った。
虹色に輝くそれは少女…いや、少年を形創る。
アッシュ掛かった金髪で青い瞳のマルシャによく似た子。
本人確認ができないから“よく似た”としか言えない。
一瞬映し、映像はブロックノイズが入り、見えなくなってしまった。
「あれ〜?起動しなくなっちゃった〜。」
「マルシャは…エルネキア族と関係があるのか?」
「ん〜…………………………。今は何とも言えないな〜…。」
「マルシャがエルネキア族…にしては知性に欠けるな。」
エルネキア族は非常に優れた知性を持つのが特徴。
その点では100%違うと言えるだろう。
それからシアは気が済むまで調べまくった。
そういえば帰還組が戻って来ないのを見ると、無事出口に辿り着いたのだろう。
自分たちも出口を目指して歩いた。
やがて薄暗い外へ抜ける。
ここはイフリアヘル付近の洞窟。
暑いのはもう懲り懲りだ。
日は違えど2人も無事ホームに帰還する。
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