ボンパパ 「夜分失礼します。ブレイドニルムですけど…何か分かったかなと思って来てみたんです。」 「こんばんは〜。まだウチのメンバー戻ってなくて〜…どうぞ掛けて下さい。雑用さんお茶〜w」 「……誰が雑用だ。」 「カノン呼んでるよ?マルシャみるくがいいです。」 「うるせー、糞チビ。」 やり方はニチカに仕込まれた。 カップの場所も分かるし、分量は書き置きされてあるから問題なく作り、差し出す。 お茶を勧め、自分も一口飲んでから話を始めた。 「仲間から連絡があったんですが〜、山の霧深い渓谷付近で女の子らしき影を見掛けたらしいんですね〜。足場も見えない位の霧らしくて〜、捜査は明日の朝からでないと厳しいんですよ〜。」 「…そうですか。」 「マルシャのみるくは?」 「自分でやれ。飼い主に命令すんな。」 「うー……。」 お客様のコーヒーに添えてあるミルクポットを凝視した。 困った顔される。 「マルシャ、俺のをあげるからおいで〜。」 「ぴょん吉大好きw」 「…仲いいですね。リリィ…。」 「…リリィちゃんは〜、どんな子なんですか〜?」 男はマルシャを見て、迷子になったリリィの名前を呟いた。 容姿の話は聞いたが、どんな職業なのかとかは全くわからない。 この際だから聞いてみると…。 「リリィは、召喚士です。」 「マルシャも!」 「でも、普通の召喚士じゃないみたいで…何も書いてない本を楽しそうに読んでました。内容を得意気に話すんですよ。」 「マルシャも?」 「……オマエもだ。今はどうかわからないがな。」 「お宅も書物を持ってるんですね〜。ウチにも“4冊”あるんですよ〜w」 「4冊…?」 「不思議な書物は1冊だけではなかったんですね。」 「マルシャ、リリィに会いたいです。」 それはブレイドニルムのメンバーみんなが思っている。 とりあえず、今日は見掛けたという情報だけで帰ってもらった。 残されたミルクポットに飛び付いて、ぐいっと飲み干す。 行儀が悪いとカノンに怒られた。 「やめろ。」 「やう。」 「……リリィが気になるね〜。」 「きっとコイツより有能だ。オマエは無能だもんな。」 「むのーって何です?」 カノンはマルシャの頭を優しく優しく撫でた。 遠くを見詰める感じでこう言った。 「ぶっ飛ばしたい位可愛いって事。」 「にゅーw」 いいのかこれで。 いいんですこれで。 【前n】/【章n】/【次n】 |