☆なんだこの初々しさ ミチルはウキウキしていた。 なぜならユタが任務で長期間居ないから。 平和というのを堪能させて頂きたい。 しかしそれは束の間で、朝から大変だ。 ガシャーンッ またコーヒーカップを割る。 状況が深刻なのは、カノンの真っ白なコートに液体が飛び散ったという事。 ミチルはパニックになって言葉を無くし、固まっていた。 因みに持ち主は朝早くからタレイアの所だ。 「どうしよう……どうしたら………。」 『カノーン!おーい!寝てんのかー?』 「あ…あのっ!カノン様は………。」 「お邪魔ーwお?カノンは?」 「タレイアさんの所に…。」 「あんがとなw…っておいおいおい!なんだこりゃあ!!手がヤバい事になってんじゃん?」 「また…割っちゃって。」 「危ねーから他に頼め。」 ガラスの破片や掃除は他のお手伝いがやってくれた。 コートも持って行かれる。 ミチルの特性を知っていたが見るとやはり驚いた。 「痛々しい手だなー。」 「うぅ……/////」 そんなに見られたら…。 困っていると、カノンが帰ってきた。 「…またやったのか。」 「ごめんなさい…。」 「まだ血が出てる。」 「/////」 手を取った。カノンに対して小さな手、細い人差し指に口づけをする。 ボッと真っ赤になった。 熱くて世界がグルグルしてて息が苦しい。 「痛みは?」 「あ…あぅあ……うにゅ/////」 「超良くね?!お前のポジションいっつも良くね?!人材回りがセコいぞ!」 「………自分で見付ければいい。タレイアなんていいんじゃないか?」 「確かにアレは可愛いけどよ、でもな……うん。俺も早く見付けねーとwヤベー、時間が…後で話あっから!じゃあな!」 ドアを閉めるカノン、ついでに鍵も閉める。 改めて握られた方は肩で呼吸するくらいに心拍数が早い。 「…カ…カカ…カノ…/////」 「ん?」 「…………ま…また、ま…カップが……割れわ…わ…割れて…。」 「ドジ。ガラス持つの禁止、いいな?」 「でも…カノンの役に……たちたい。」 「オマエ、可愛い。」 頬にもキスをした。 瞼にも額にも鼻の先にも。 徐々にわかり始める【好き】という気持ち。 心が強く引かれてどうする事も出来なくなって思わず好きと呟いてしまいそうになった。 「カノン……好き…です。多分。」 大きな手は頭を撫で、彼は優しく笑った。 胸がキュンとなるのも好きの証。 そういえば、グランゲール王の后妃ロベリア様がお父様に何度も好きだと言っていた記憶がある。 兵士とお手伝いも、皆。 考えていく内に、何も特別な感情じゃないのでは?と思えてきた。 答えは道を外れて行き【きっと挨拶の最上級なんだ】と錯覚してしまう。 「じゃあ…僕はニチカさんも好き?」 「……?」 「ウルタスも好きで、シア様も。」 「馬ー鹿。……決めた。」 「?」 「…タレイアをオマエの教育係に付ける。情報屋からヒトとして最低限の知識を得ろ。」 「は、はい。……?」 世の中に手に入らないモノがあるなんて思いもしなかったカノン。 初めてだ……。 【前n】/【章n】/【次n】 |