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何かって言ったからぁ
寒いのか、怖かったのか、マルシャは震えた。
息を鳴らしている。

「寒いか?」

「…っ…っ…っ。」

「答えろ、マルシャ。」

「あた…ま……ぐるぐる…っ。」

「痛いのか?」

気絶寸前という感じだ。
力を抜いてしまえば、もう起きられない気がして、マルシャは耐えていた。
辛そうな顔をしている。
そこに、何かを持ったタレイアが戻ってきた。

「カノンちゃんこんな物でいい?!」

キャスター付き衣装ケース、中にはヒラヒラしたパジャマが詰められている。
どうやらマルシャの為に買い集めた服のようだ。
彼もまた気が動転していたのだろう、着替えさせている最中に本当にやらなければならない事を思い出す。

「…シアだ。シア連れて来い。」

「了解ぃっ!」

博識なシアなら。
ラブラブを無視して、直ぐにふたりまとめて無理やり来て貰う。
診察した。
ニチカは温かい飲み物と濡らしたタオルを持ってきて、看病する。

「濡れた下着の上に着せてどうすんのさ!布団掛けてあげなきゃ駄目じゃん。」

「そうなのぉ?」

「常識だし!」

「…ニチカ、理由は後で作るから〜、何も言わず商売道具持っておいで〜。」

「?」

商売道具とはヘッドホンを示す。
術式でプログラムを組み立てる際、音にする。
音と言っても聞くヒトによっては雑音でしかないが。
部分部分に赤い端子と青い端子を繋げて、“音”が綺麗にハーモニーを奏でるように、術式を組み換える専用の魔力を展開して調律を行う。
持って来ると、早速言われるままに赤い端子と青い端子をマルシャに繋げた。
とんでもない術式がスクリーンに映る。

「…………ヒトの身体から音が録れるなんて…。」

「うおーい。俺ってすげぇだろ。」

「お〜、アサト。居ないと思ったら〜wたまには役に立つじゃないか〜。」

「たまにってか…。」

「じゃあ式作るから調律任せたよ〜。」

「はい!」

分厚いノートを手に指示をし、音を組み立てていく。
恐ろしい程息の合ったコンビネーション。

「……あのノートは?」

「シアの独学研究ノート。わざわざステルメークまで取りに行ったんだぜw」

「それってぇ、泥棒じゃあん?」

「ノエルの許可得てらーw」

「あのさ…静かにして欲しいんだけど。」

「ごめぇんw」
「悪りぃw」
「…。」

部屋の主さえも追い出された。
仕方がないから、今日は堅い木の長椅子で眠る事に。
安眠できやしない…。

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