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☆実は軟弱体質
アサトとタレイアは迷子探し任務へ、春臣と海璽はギルドの申請をしに行った。
そしてシアとニチカは“ホーム”といって、ギルドのアジトの様な施設を探している。
予算に見合ってそれなりに大きい建物は既に他のギルドのものになっていた。
つまり、出遅れ。

「どうします?」

「ランク落とすしかないかな〜。カノンに会えればコネでなんとかできるのに〜。」

「そうだね。ちょっと休憩しない?…歩くの疲れたしさ。」

「珍しいね〜。体調不良〜?」

「疲れただけだって。」

朝からマルシャに頭を悩ませて…いや、その前から頭が重かった。
熱ぽい気がするけど風邪とは違う。
ふたりは広場の前のベンチに座った。
ニチカが真ん中。
シアは端でポケットから本を取り出して読み始めた。

(ちょっとは心配しろっての!)

「してるよ〜?」

「え?!…?テ、テレパシー?声出てた?」

「ん〜………。」

「ここで黙るんだ…。あー……苦しいなぁ。…。」

見向きもしてくれない。
似非弱音は次第に本気になって、高温多湿の箱に閉じ込められた感覚になる。
冷や汗かいてベンチから落ちたのには気付いてくれた。

「ニチカ!」

「くる…しぃ。」

「落ちついて!」

「くぅっ……!」

突如紫電が走り、街灯をショートさせた。
またひとつ、そしてもうひとつ。
所謂パニック障害。
引き金はなんだったか。
想った後に過ぎった何かなのだが、その一瞬を覚えていない。
シアはニチカの背中を優しくさすった。

「大丈夫〜?」

「…………っ苦し。駄目…吐く。」

「いいよ。ニチカ〜、息吸って〜?」

「………ぁー…駄目死ぬ。」

「死なない死なない〜。吸って、ニチカ息。」

苦しいのは空気を欲さないから。
こんなに気持ちいい風が吹いてるのに。
多少のヒト目があった。
でも呼吸を拒絶しているために無理矢理にも息を送り込む。
方法は口で口からだ。

「………んっ!…はっ…っ。………はー…はー…。」

「治ったね〜。一応病院行こ〜?」

「……もう平気。早くホーム…探そ。」

「フラフラしてるよ〜?」

「してないし。」

とりあえず今はホームを提供して貰うためにカノンを探す。
でないとニチカを休ませてあげられない。
一生懸命なシアの目を盗んで、壁に寄りかかったり、靴の紐を直す素振りを何回も繰り返したり。
どこまでもどこまで強がる。
今更、こんな醜い性格を正すなんてできなくて。

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あきゅろす。
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