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腹黒い最強ダック
ミチルと別れて、心を落ち着かせる。
よし…。
気合いを入れたニチカ。
ノックしてドアをゆっくりと開けると、ザザーッと本の雪崩に遭遇して埋もれた。

「わわわわわ!」

何とか腕で頭を守ったけど痛い事に変わりない。
周りが真っ暗だったが、一窓の光が射した。

「うは〜……大丈夫〜?」

「……痛ー。」

「緑…君が腕のいい銃使いか〜w」

「腕は別としてそ…そうですけど、まず先に助けて頂けないですか?」

「ごめんごめん〜w」

憎めない笑顔を持つヒトだった。
スナイパーという職業イメージとはずいぶん違う。
本を部屋に戻し、中に招かれたのだが全然綺麗とはいえない。
書物や書類、その他のモノで歩く所を探すのが大変だ。
椅子に座るが落ち着かないこの環境。

「初めまして、ニチカ・フォンタニエです。」

「どうも〜。ニチカ…でいい〜?」

「はい。」

「ニチカの腕の良さを見せてもらおうかな〜。」

大らかに話すが言ってることはそうでもない。
この窓から下を見ると庭があって、そこの離れた木陰に昼寝をしている誘拐忍者のアサトが居る。
アレを仕留めろと言った。

「仕留めろって…そんなことしていいんですか?!」

「問題ないよ〜。殺っちゃって〜w」

「わかりました。」

狙っているのに気付いてと念じながら照準を合わせた。
外してしまえば旅費代に逃げられてしまうという自分事を何度も唱えながら目を閉じて引き金を引く。
一瞬の出来事は止められるものではなかった。

『ギャアァァァ!!』

「あれw外れちゃったみたいだね〜。でも狙いは悪くなかったしブレも少ない方だね。気に入ったよ〜w」

「ありがとうございますw」

避ける事を想定しての提案だったらしい。
優しいヒトでよかった。

「アサトの癖がわかればすぐに殺れるようになるよ〜。頑張ろうね〜w」

「え?!はい…頑張りますけど……。」

やっぱり怖い。
でもこのヒトに何故か惹かれてしまった自分が居た。

「ん〜…勿体ないな〜。」

「何がですか?」

「ただ軍に入るなんて勿体ないな〜ってね〜。俺の付き人にならない?」

「………喜んで!」

このヒトの腕前を側で見てみたい。
特等席に座れた。
出会いが運命のような気がする。
感じ取れた何かの正体、今は検討も付かないし付けようもないけれど、翻弄されてもいいと思えた。
シアから視線が外れない。

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