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だってツンデレだもの
携帯電話と睨めっこ。
さっき文章機能、通称メーラーを起動して空メールを送ったが返事はない。
通信機の場合は少ない魔晶石の電波である程度遠くでも話せるが、メーラーの場合は大量の電波を使う為、近場でなければ相手の電波を感知できず、受信されない。
記録媒体の魔晶石によっては上書きされてしまうものもある。

「……届いたかな。任務だから届いてないかも。」

ニチカはベットに肘を付きながら、ただただケータイだけ見ていた。
ため息しか出ない。
ネガティブモードに入っていると、突然怪奇現象の様にドアノブが動く。
こんな夜更けに有り得ない。
意を決して、静かにドアを開けたのだが、暗いし誰も居なかった。
ホッとしてドアを引くと、紙袋みたいな音が。

(何これ………。カノンが気を使ってプレゼントでも買ってきてくれたり?)

小さな手つきの紙袋の中に入っていた小箱。
開こうとしたら、追い風がニチカの髪を踊らせた。
重なる怪奇現象で恐さはもう感じられない。
きっと犯人だ。
コノヤロウと振り返った。

「あのさぁ……っ!?」

「こんばんわ〜。サプラ〜イズw」

「…こんなんじゃ、嘘でも驚けないって……w」

「あれ〜?怒ってないの〜?なら俺からのプレゼント開けて開けて〜w」

警戒するべきだった。
ドキドキというか、静かにワクワクして小箱を開ける。
隙間からビョンッとバネ付きの星が出てきて、びっくりして箱を捨ててしまった。

「………。」

「あはは〜w怒った〜?」

泣きたくなった。
嬉しいんだか悲しいんだか分からない。
憎たらしいのかも。

「……馬鹿だなぁwほんっとに……馬鹿だよ…。」

強がって見せた笑顔。
もうこれ以上、上手にできそうにない。
目尻に熱いモノが溜まる。

「あ、あれ〜?何で泣いちゃうの?…ニチカ〜???」

「………可笑しいなぁ。…笑ってる…んだけどw………………いつ帰って来るか分からないのに、会えるの楽しみに待ってた。なのにさ…あんまりだよ。」

「…今までごめん。」

何を今更。
離れている限り、孤独は続く。
【今まで】は頭のいいシアらしくない言語の使い方だ。

「これからも…でしょ。シアさん……俺、もう……

堪えられそうにないと伝えようとした。
しかし名前を呼ばれ、優しく抱擁されてしまう。
夜風が乾いた頬に沁みる。

「ニチカ、今日からずっと一緒に居られることになったんだ〜。」

「…………え?」

「父さんが復活したから自警団はもう大丈夫だって〜w後、今日ニチカから貰ったピアスしてたら〜、センスがいいって言われたよ〜。」

「付けてくれたんだ…。」

「ニチカのセンスだって言ったら彼女をひとりにする馬鹿どこにいるって怒られちゃった〜w」

馬鹿だなぁと笑う。
最後の最後まで「ごめん」なんて言えなかった。
一番伝えたかった言葉なのに。
「嬉しい」も「幸せ」も言えない。

「……怒られるに決まってんじゃんwほんっと、馬鹿なんだから。」

「あはは〜w寂しかった?」

「俺が?何でさっっ/////」

「ニチカ〜、素直に素直にw」

「…………寂し…いよ?…だから何!/////」

何故キレたのか自分でもよく分からない。
シアの顔を見る事ができなかった。
こんなにも嬉しいのに。

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