君と二人で高みの見物
5
「やあ桜、昨日ぶりだね」
「すごく、逢う、嬉しい」
「「さくちゃーん、今日もかわいねー!」」
上から副会長、ワンコ書記、双子会計だ。
「楊(ヨウ)、俺も楊に逢えて嬉しいよ。ってか礼(レイ)抱きつくなー!青葉(アオバ)と若葉(ワカバ)もっ、俺かわいいとか言われても嬉しくねーし!」
ああ、やっぱり桜は最高だ!
こんな現場を生で見れるなんて…っ!
そう俺が感動に浸っていると、さらに大きな歓声が響き、その歓声に包まれて何様俺様生徒会長様の柳竜牙(ヤナギ リュウガ)が現れた。
「よォ桜。俺のモノになる覚悟はできたか?」
「なるわけねーだろっ!俺は誰のモノにもなる気はない!それに人をモノ扱いするなんて失礼すぎるだろ!」
嗚呼、柳会長の桜に対するセリフが、セフレから自分のモノ…つまり恋人にしたいというものに代わっていて、俺の胸は高鳴っていた。
「ってゆうかさっ!俺は友達と昼飯食べてる途中なの!翠人とか困っちゃってるだろっ!」
そう桜が言うのを聞いて、佐藤の方を見てみると困っているというよりも、昨日の噂は本当だったのか、という感じで驚いているみたいだった。
ちなみに浅原は、生徒会が現れて不機嫌そうだった。そして心なしか、桜に抱きついている双子書記を睨んでいる。
そうだよな〜♪、王道編入生の同室者が王道編入生を好きになるのは相場で決まってるもんな〜。
双子書記が桜にくっついているのが羨ましいんだろ!浅原。
もう…本当、ビバ王道!!!
っていうか、さっきから何か大事なことを忘れている気がするんだけど…
…思い出せない。
「翠人…?ああ、佐藤翠人君か。バレー部の有名人。そして昨日に引き続き、浅原君。もうこんな有名な人たちと友達になったのか。あとは………、!!」
「え?なに驚いてんの?礼」
「…てめェは藤堂の…」
そう、俺はゆーさんの……
って、あ?
ゆーさん?
〜〜〜〜〜〜〜っっ!!!
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
俺の叫びが食堂中にこだました。
馬鹿馬鹿、俺!
何忘れちゃってんの!?
「──思い出したか、アスマ」
その声が聞こえた瞬間、会長に負けず劣らずな歓声が地面を揺らし、それと同時に俺の頭から血がひいていった。
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