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君と二人で高みの見物
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「「「「キャーーーーーッ」」」」

扉を開けると黄土色の歓声が聞こえる。黄土色に負けているものの、低い声での歓声も聞こえてくる。

慣れたもののうるさいものはうるさい。

歓声の多くは、佐藤と浅原、そして俺に対してだ。
「佐藤くんかっこいー!」やら「浅原様ステキー!」やら「モモちゃーん」と俺に手を振ったりなど。

しかし桜に投げ掛けられる言葉は、「誰?あの子」という桜への疑問の言葉や、「あの子すっげーカワイイ」という称賛(なのか?)の言葉や、「昨日生徒会の皆様に近づいたやつだよ!」という憎んでいるような言葉など色々だった。

それは主に、タチと言われる奴らは桜を認め、ネコと言われる奴らは桜は敵だ、ということで分かれているみたいだ。

まぁ、桜はどちらにしても気にしていないようで、普通に歩を進めるから俺たちも気にせずに席を探すことにした。

…探すまでもなかったみたいだ。

俺たちが少し歩くと、どうやら佐藤の親衛隊の子たちが席を譲ってくれたので、座らせてもらうことにした。

ちなみに浅原と俺には親衛隊はない。浅原はうざったいからと、親衛隊があったのだが解散させた。

俺は…俺も親衛隊がいたのだが、とある事情で解散させられた。

そんな訳で、俺には親衛隊というものはないのだが、何やら非公式で“アスマ様を見守る会”というものがあるらしい。

そして俺たちは席に着いてお昼ご飯を選ぶことにした。

「翠人(スイト)〜何頼むか決めたー?」
「うーん、カツ丼かな。最近部活の練習キツいからさー」
「そっかぁ、壱哉(イチヤ)はー?」
「日替わりランチ。選ぶの面倒くさいし」

翠人は佐藤、壱哉は浅原だ。

ちなみに佐藤はバレー部のレギュラー選手で、次期キャプテンと言われている。

「うーん、ここのメニューって種類が多すぎて迷うんだよなぁ…。モモは何にすんの?」
「俺ー?俺はオムライス」
「ハハハッ、本当モモはオムライス好きだよなー」
「二日に一回はオムライス食べてるよな」
「うるせっ、ここのオムライスは格別に美味いんだよっ!」

うん。今まで食べてきた中でもここのオムライスは飛び抜けて美味いと思うんだ。

「へーっ、そんなに美味しいんだー!じゃあ俺もオムライスにする!」

そう言って桜はオムライスを注文したので、俺たちも各々の料理をタッチパネルで注文した。



* * *



俺があともうちょっとで食べ終わるというところで、それは起こった。

「「「「キャーーーーーッ!!!」」」」

俺たちが入ってきたときもうるさい位の歓声だったけど、そんなのとは比べものにならない歓声が食堂を揺らした。

キタキターーーっ…!!!

内心ウキウキな俺とは対照的に、桜の顔は若干青ざめていた。

そしてその騒ぎの元凶、生徒会の人たちは俺の理想を裏切らず、こちら──桜の方へと向かってきた。




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あきゅろす。
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