君と二人で高みの見物
1
昼休み、食堂。
俺は先日ゆーさんとの約束を忘れてしまったので、その埋め合わせを本日行っていた。
「んーっ!このショートケーキおいし〜」
「デザート食いすぎだ。一体何個目だ。」
「四個目〜、だっておいしいんだもん。食べたい気分だったんだもん」
「だもん、って…アスマは本当にかわいいな。それに口の周りにクリームなんかつけて」
「えぇっ!どこ!?こっち?」
「ちがうよ」
ペロッ
「取れた。甘いな」
「ゆーさんてば…。どう?おいしかったでしょ」
「確かにおいしかったけど…アスマの方がおいしいよ」
「もう、ゆーさんのばかっ」
ああ、ゆーさんは本当にかっこいい。甘い顔も好きだ。こんなセリフを言って格好つく人って美形の人位だと思う。
ちなみに、俺たちの周りには普通に食事をしている生徒たちがいて、めっちゃ見られてるんだけど…スルーしてます(笑)
多分生徒たちも、あーまたやってるな、位にしか思ってないと思うし。
そんな甘くてのどかな昼休み。
その雰囲気がいきなりぶち壊されました。
─ガシャーーン
「っ、てめェ今わざとぶつかっただろ!?」
「あ゛ぁ?勝手なこと言ってんじゃねーよ!」
そんな言葉が、そこから少し離れた所にいる俺たちの耳にまで届き、どう見ても不良な感じの男二人は互いに譲らず、とうとう殴りあいの喧嘩を始めた。
周りの生徒たちはキャーキャー叫び、逃げまどい、食堂が混乱に陥っている時だった。
「風紀委員だ!そこの生徒二人、喧嘩をすぐにやめろ」
シーン、その効果音がピッタリな位、周りの生徒たちも不良二人も完全に動きを止めた。
そしてさっきまでの威勢はどこにいったのか、不良二人はガクガクと震え始め声の持ち主、風紀委員長を見た。
「あ…あ、その…」
「し…忍さん…」
「俺はお前らに名前を名乗ったつもりはねーけど」
まぁ、正確には名前ではないけどね。
その、今、この場を支配している男の名前は、忍足征四郎(オシタリ セイシロウ)。
この学園の風紀委員長である。
彼はここら辺一帯でNO.1の族『Rain』の総長をしており、つまりは学園内全ての不良のトップをはっている。
ちなみに族での通り名が『忍(シノブ)』だ。
「全く、こっちは忙しいってのに…仕事増やすんじゃねーよ」
「「すみませんでしたぁっ!!」」
「ハァ…瓜、こいつら風紀委員室に連れて行け」
「はいっ、忍さん!」
そうして瓜と呼ばれた委員長の斜め後ろに立っていた生徒、副委員長の錦瓜(ニシキ ウリ)は不良二人を連れて食堂を出た。
彼は不良な外見の委員長とは違い、黒髪黒目でやんちゃな少年という感じだ。
しかし、見かけによらず『Rain』の副総長をやっているのだが。
そうして騒ぎが一応終息したところで、委員長がこちらへとやってきた。
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