魔法少女リリカルなのはStrikers of THINKER
act-01
とある魔導師試験実技会場兼訓練場、
此処は一部の土地を廃棄都市の様に再現し、入り組んだ道や変化に富む地形を使った
実戦さながらの訓練を可能とする管理局の私有地である。
そしてエヴァンとフランの二人は何故かここのスタート地点のビルの屋上に立っていた。
それぞれ二人とも思い思いに体を解しつつこれから始まる"試験"にむけ待機しているのだが・・・。
「お早うございます!、さて今回Aランク試験を受ける二名、揃ってますか〜?」
「はッ!!」
試験開始数分前になり、試験管と思われる女性が魔力スクリーンに映し出される。
二人は軍隊さながらの覇気ある返事を返す。
「確認しますね、時空管理局武装隊エヴァン・コードウェル一等陸士と」
「はっ」
「同じく武装隊フラン・コードウェル二等陸士」
「はい」
「現在所有している魔導師ランクはB、今回はAランクへの昇格試験で間違いないですね?」
「はい!、その通りであります!!」
「(うぅ〜、堅くて苦手なタイプですぅ〜)は、はい!!今回の試験監督を務めますリインU空曹長です、宜しくですよ〜?」
「宜しくお願い致します!(この私が・・・何故、何故だ!!?)」
彼等が何故魔導師試験を受けているのか、その理由は数時間前に遡る・・・
―――
時空管理局執務室
二人は今後の任務の予定等をサーダナと打ち合わせた後、一度フランの再メンテナンスの為部屋を出ようとしていた。
自動ドアを開き、退出しようとすると、突然サーダナに呼び止められた。
「ああ、そうだ、君達には"武装隊"として一度魔導師試験を受けて貰う」
「・・・・・はぁっ!?」
当然だろう、二人は嘱託魔導師として出向するものとばかり考えていたのだ、しかも武装隊扱い。
更には手の内を明かすような真似をしなくてはならなくなる。
「部隊の人間達が突然嘱託魔導師を押し付けられたら不審がるだろう?その為正規の部隊からの戦力引き抜きとして出向する必要があるのさ」
「は・・・はぁ」
サーダナ「何も全力でやれとは言わない、第一君の"チェーンガン"だけで全行程クリア出来るほどの簡単な試験だ・・・試金石だと思って頑張ってくれ」
―――
「二人はその地点から出発、各所のポイントターゲットを破壊、尚これらのターゲットはBランクのものと比べて非常に高性能なので手強いですよ〜、
あと当然ダミーターゲットもありますから、注意してくださいね?ターゲットを迎撃しつつ、制限時間内にゴールを目指してくださいです。質問はありますか?」
「ありません!!」
「それでは間も無くスタートです、ゴール地点で会いましょう!!ですよ?」
リイン曹長がそう言うとスクリーンが閉じ、カウントダウンが開始される。
やれやれと二人は目標を見定めた。
「恐らく敵戦力は高機動型MTと同程度、ユニゾンするまでもない・・・舐められた物だな、俺もフランも」
「・・・最短ルート検索完了、ぱぱっと済ませて帰ろう?」
カウント・・・ゼロ
「作戦開始!!」
フランが真っ先に飛び立つ、それを追うようにエヴァンも魔力噴射で飛び出した。
先ず最初のエリアでは屋外、屋内に多数のターゲットが設置されている。
「中は私が殺る、外はまかせたよ!」
ガシャン!!という音と共にガランを割り中に突入するフラン、
廊下に出ると早速数十機ものオートスフィアが行く手を阻む。
「グングニール、マルチシュート!!」
周辺に環状魔法陣が複数展開され、槍状の魔力刀が一斉掃射される、
銃弾程の速度で打ち出されたそれは、かなりの魔力防御力をもつ高機動スフィアでさえも一瞬で貫いた。
爆発音が響き、ダミーを残し全てが瞬時に消えた。
「次!!」
そしてその頃エヴァンは、右手にマシンガン型のサブデバイスを構え、単射の要領で多数のダミーの中の
ターゲットのみを破壊している。
途中、ビームを一瞬被弾したかと思いきや、直撃する数センチ前でピームがかき消されていた。
「温過ぎる」
「そしてエヴァは遅すぎる!!」
「速いな・・・って屋内はダミーの量が圧倒的に少ないだけだろうが!!」
騒ぎつつも確実に目標を破壊する二人、既に行程の半分を切っており、制限時間はまだ十分以上ある。
・・・が。
―――ドゴォォッンッ!
「っ?」
二人の目の前に突如、人型の何かが出現する・・・
人型妨害魔導兵器"MT"
超高性能AIと高機動により、たった一機でもBランク魔導師なら瞬殺してしまう企業の尖兵が二人の前に立ちはだかった。
「スクータムか・・・ってこんな事に良くライセンス落ちたね?」
「知るか」
エヴァンのマシンガンが変形する、そして流線型の狙撃ライフルになった。
それを片手で構え、トリガーを引く。
カルルォォンッ―――
発射と同時に一機のスクータムが爆散する、どうやら魔導師を苦しめるMTでさえ彼の敵では無い様だ。
トリガーを引くごとに一機、また一機と残骸と化すスクータム達、光の速さで発射されるそれを避ける術がMTには無かった。
敵も高速で地上を滑りながら魔力ロケットを撃ち込んで来るが、掠りもせず。
そして築かれる鉄屑の山、二人は其れを尻目にさっさとゴールを目指す事にした・・・
ゴールは二人の直線上、ターゲットはオートスフィアのみ・・・
「クイックムーブで一気に駆け抜ける、雑魚の相当は任せた!!」
頭の上にフランが降り、エヴァンは其れを確認すると大型の環状魔法陣を展開、
大出力の魔力噴射で一気に超加速した。
「ラスト一体、マテリアルブレイク!!」
オートスフィアとの擦れ違い際に、フランは直接其れに触れ、爆発させた。
目標全滅。
―――グォォォォォォンッ
ギキィッ―――!
ゴール線を踏み切る、と同時に急ブレーキを掛け、数メートルオーバーランしたところで二人は停止した。
「危ないじゃないですか、もぅ〜〜っ!!」
すると二人の背後から掛けられる先程聞いた声、二人はそちらへ振り返って・・・
絶句した。
「ちっさ・・・」
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