P.
声にならない
浮かぶ月が今 半分に欠けた
共鳴する蝉たちがわたしを抑えて
叫んだ声も弱く消えていく
まだ見えないように隠した手のひらは
赤くにじんで熱を発するのに
どうして溶けないのだろう
その水面は
白く覆われて月さえ写さない
確かめたくて投げた石は
きみがくれたもの
その気持ちさえも
もうこの心を動かせない
削られていくように小さくなった月が
悲しく笑ってんだ
事実を哀れんで
ありがとう
そう伝えたように
さよなら
目を閉じた
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