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二人(未来影白)
シリアス(?)
本編「黄金の草原」パロ
ナチュラルに付き合ってない((殴
未来ローグ(のつもり)
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『スティングを殺して奪った力だ』
影白竜。光と影の力を持ち合わせる最強の滅竜魔法。全てのドラゴンを従える王になるための力。アクノロギアを倒す力。あの世界を生き抜く力。
ずっと、一人だった。
一人で荒れ果てた王国で一人生きてきた。スティングを殺し、その力を手にいれたときから一人だった。
初めは、文字通り二人でひとつになれたものだと思っていた。これでもう離れることはないと。しかし、この死線の中戦うスティングを見て、そしてもう一度、あの日のようにナツ・ドラグニルに負けた瞬間、悟った。俺はずっと一人で生きてきたのだと。
孤独は嫌いじゃない。一人で居るのも別に苦痛を感じたことはない。それでも今、胸の奥が痛むのは何故だろう。
「…にフロッシュは殺される」
ナツ・ドラグニルにそう告げ、ゆっくり目を閉じる。
身体が消える感覚と言うのは、なかなか不思議なものだ。
沈み行く感覚に身を任せ、深く眠ろうとしたとき、
『………………ローグ』
聞き間違いだ。この期に及んでまで、自らの手にかけた人間の声が聞こえるなんて。
あのとき、殺そうとしたにも関わらず一切の抵抗も見せなかった、俺の相棒。俺が殺した人。愛しい人。
『…ローグ』
恐る恐る目を開ければ、其処には。
「スティ…………ン…グ」
名前を呼ぶとふわり、と微笑む。
『待ってた、絶対お前なら来てくれるって』
「でも、俺はお前を………………」
『気にしてねーよ!いいじゃねぇか、こうやってまた会えたんだから』
相変わらずの能天気ぶり。屈託のない笑顔に、俺は思わずスティングを引き寄せる。そしてそのまま強く抱き締めた。
『………………あったけーな…』
流れることないと思っていた涙が、自身の頬を濡らす。
自ら手にかけた人。それでも待っていてくれた人。愛しい人。
「スティング………………好きだ」
『………………俺も、好きだよローグ』
スティングが優しく俺の背に手を廻す。
その温もりがひどく切なくて、もう放すまいと抱く腕に力を込める。気づけばスティングは肩を震わせていた。
『会いたかった…ずっと』
静かに嗚咽を漏らすスティングの頭をそっと撫でる。柔らかな金色の髪が指に絡まってはほどけた。
『もう、一人になるな』
「…ああ」
『一人で抱え込むな』
「…ああ」
『自分が悪いって責めるな』
「………………」
言葉をつまらせた俺にスティングは苦笑を見せると、静かに言った。
『俺はお前を恨んじゃいねーよ』
「…………………ああ」
すとん、とまるで肩の荷が降りたかのように身体が軽くなる。そのとき初めて、自分は罪の意識と共に生きていたことを知る。
だが、それも終わりだ。
(俺は、ずっと、スティングに許されたかったんだ)
スティングの笑顔につられて微笑む。それだけでスティングは嬉しそうに笑った。
『ローグ!ほら仕事行こーぜ!』
ぐいぐいと腕を引っ張るスティングに俺はくつり、と笑いをこぼすと一緒になって走り出した。
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