Novel 04*04+03【廊下で…】 「58.これも広い意味で自慰」のぬい×ぬいの続き…のような? 一樹は心の中で嘆く。 最悪だ…。 人通りの少ない廊下の壁にカズキに押し付けられ、それを引きはがそうとしているところを…なんと哉太に見られてしまった。性格はカズキの方がサディスティックな面があるのだが…一見したらどちらがどちらなのかわからない。哉太はぽかんとした表情をみるみる赤くさせると、口を開閉させた。 「え…っ、えええっ……!?」 「な、七海…これは…ッ」 先日、自分自身が出てくるという妙な夢を見た一樹だったが、当然ながら、まさか起きている時…つまり現実にカズキが現れるなど予想だにしていなかった。カズキは哉太の登場を面白がり、唇を舐める。 「よう、七海……いいタイミングだな」 「し、不知火…会長…?」 「くくっ、そこで見てろよ…?お前が大好きな不知火一樹の、やらしー顔見せてやっから」 「おいカズキ!いい加減に…っ、う、あ!」 カズキは一樹の両脚に右膝を割り入れると、ぐいと足を上げて股間に押し付けた。思わず怯む一樹に不敵な笑みを向け、耳元で囁く。 「折角だ、可愛い後輩に見せてやれよ……お前のイイ顔をな」 「あ…っ、うぅ……!」 耳たぶを舌先で舐め上げられ、一樹は思わず声を漏らす。そのまま口にくわえられ、甘噛みをされたり舌で好き勝手に嬲られてしまう。同時に膝をぐりぐりと股間を刺激され、一樹は腰が抜けそうになってしまった。カズキはそんな一樹の身体を支えると、口角を上げながら哉太を振り返る。 「はぁ……っ、はぁ…ッ」 「不知火会長……ッ…」 「どうだ?七海…一樹のこんな顔……初めて見ただろ」 哉太は一樹から目を逸らせないまま、怖ず怖ずと頷く。紅潮した頬や荒い呼吸は、凛々しく覇気のある普段の一樹からは想像できないもので、哉太はいやがおうにも身体が熱くなってきてしまった。わかりやすい反応を示す哉太を見て、カズキはニヤリとする。 「カズキ…ッ!ふざけんな!」 「怖い顔するなよ。ま、尤も……ちんこおっ勃ててる奴に言われても怖くもなんともないけどな」 「うあッ!ぁ…っ」 冗談にも程がある、とカズキを睨む一樹だったが、下肢を撫でられ間接的に言葉を塞がれてしまう。カズキの言う通り陰茎は既に反応を示してしまっており、制服の上から擦られるとそれだけで更に硬くなっていった。一樹は手の甲を口に当て哉太に声が聞かれないように必死に押し殺そうとするのだが、時折強く刺激されると、堪え切れない吐息が漏れた。 「ふぅっ、…!…う、ぅ……、んッ」 「ふっ…。 おい、七海……ちょっとこっち来い」 「えっ!?」 「いいから、来い」 根が生えたように固まっていた哉太だったが、カズキの鋭い眼光に射抜かれ勝手に足が動く。哉太がそばに来ると、カズキは一旦一樹から離れてしまった。しかし中途半端に熱を上げられた一樹は、解放を喜ぶよりも先にどうして、と疑問が浮かぶ。一樹の思考を把握しているカズキはそんな彼をわざと突き放してしまうと、哉太の首に腕を回して抱き寄せた。突然、憧れである存在に抱き寄せられ、哉太は目を白黒させて動揺する。 「七海……しようぜ、キス…」 「っ!?会長…!だっ、駄目です……ッ」 顔を真っ赤にして上辺だけ拒否するも、その目は期待の色に満ちていた。カズキはそんな様子に小さく笑うと、哉太の頬を撫でて誘惑する。 「俺とキス…したくねぇのか?」 「………ッ」 困惑し、思わず一樹に目をやり助けを求める哉太だったが…壁にもたれて荒い呼吸を繰り返す一樹の表情を見て、ぐらりと揺らいだ。最初は強くカズキを拒絶していたのというのに、今の一樹の表情はどこか熱に浮かされていて、うっすらと開かれた唇はキスを望んでいるようにも見える。だがそれも一瞬で、哉太に見られていると気付いた一樹はハッとして顔を逸らす。 「哉太…」 「しっ、しら…ぬい……会長…、あの…俺………ッ、ん、んんぅっ!?」 「ん……っ、ん…」 名前を呼ばれ視線をカズキへと戻すと、熱を持った頬を包まれそのまま口付けられた。驚きに開いた唇にカズキはすかさず舌を捩込んできて、逃げる事も許さず舌を絡める。 「んっ…んんーっ!ん、……ふぁ…あ…」 「んぅ、…ん………はぁ…かな、た…」 舌を吸い、触れ合わせ、カズキは哉太を堕としてしまおうと淫らなキスを繰り返した。キス自体に慣れていない哉太はそれだけで腰が痺れ、すぐにとろけた表情になっていく。突き放そうと胸に置いていた手は、いつしか縋るようにワイシャツを掴んでいた。 カズキがしたり顔で唇を離すと、腰の抜けた哉太は二、三歩よろよろと後退りししゃがみ込んでしまう。 「はぁ…ぅ、うぅ…」 「ハハッ、可愛いな…七海は。 ほら、来い一樹。」 「あっ!?お、おい!」 カズキはそんな初々しい反応を見せる哉太を満足げに見下ろすと、一樹の手を引き無理矢理哉太の隣に連れていった。そして肩を押し目線が同じになるようにしゃがませてしまうと、楽しそうに目を細める。 「七海」 「…はっ、い……?」 「一樹がキスして欲しそうな顔してるの、わかるか?……後輩のキス見て興奮しちまう会長様を、お前が慰めてやれ」 「カズキ!?…っ、おい七海!コイツの言う事なん…か…」 カズキの言葉に驚いた一樹は、哉太に向き直り変な気を起こさぬよう止めようとした…のだが、その哉太を見て言葉に詰まってしまった。哉太は、まるで積年の恋が叶ったような恍惚とした瞳で自分を見つめてきており、一樹がウッと怯むと、ゆっくりとその距離を詰めていく。 「七海…!」 後ろに下がってもすぐに壁に当たり、逃げ道がなくなる。哉太に追い込まれ、それを見ているカズキのクツクツという含み笑いが耳に入り…そして哉太の―――――――― 「不知火会長ー!!」 「うぉぉぉ!?」 キーン……と頭の中で大声が反響している。頭に手をやりながら一樹が目を開けると、目の前には哉太がいた。 ……ん? 辺りを見回すと…此処は自分の部屋だった。そして、そういえば30分経ったら起こせって七海に頼んだっけか、と寝る前の事を思い出す。 「ありがとな……ってか、声でかいぞ、お前」 苦笑しながら額を小突くと、哉太は「す、すみません…」と小さくなる。そんな後輩の頭を撫でながら、先程の夢の事を考えた。 また"カズキ"が出てくる夢を見るなんてなぁ…、……疲れてんのか?俺…。 それにしても、自分が哉太に攻められそうになるなど…有り得なくて冷や汗が出る。一樹は哉太を手招きすると、その顎を取ってしげしげと彼の顔を眺めた。 「ちょっ…!?不知火会長、…あ、あの…っ」 「うーん…………やっぱり、キスはされるより、するもんだよな」 「いきなり何…っ、ん、んんっ!?」 一樹は自己完結すると、状況を把握出来ずにあたふたとする哉太にキスをした。 end 現実ではぬいかなだけど、夢の中では二人は付き合ってない…的な感じでした! そしてやっぱり夢オチ。 2012.6.28 前へ*次へ# [戻る] |