Novel
★09*04【66666企画:ハルキさんリクエスト】
(一樹の部屋でホラーゲームやってる)
「お、おい……誰もいないのに足音するぞ…」
「大丈夫ですよ。画面にいないのに、なんのきっかけもなく敵が襲い掛かってくる事はありませんから」
「いや、そういう問題じゃないだろ!?あー、不気味だな。……怖くはねーけど」
「あ、一樹会長…この絵を調べてみましょう」
「……、…よし、……ッ!?うぉああああ!?なんっ、やばいやばいやばい!なんでいきなり絵が襲い掛かってくるんだよ!!」
「会長!絵の近くに鍵がありますよ」
「取りに行けねぇだろ!?」
「敵をおびき寄せて回り込めばいいんです。貸してください」
「……お、おぉぉー…すげぇ…」
「っと。取れました。さぁ、先に進みましょう」
「っあー!!!」
勢いよくベッドに倒れ込むと、一樹は盛大に溜息をついた。颯斗と一緒だったとはいえ初めてプレイするホラーゲームは未知の恐怖に溢れており、ゲーム内だけでなく現実の自分の周囲の環境も無意識に気になり、気疲れしてしまう。割と難易度の低いパソコンゲームだったのが幸いだが、それでも怖いものは怖いのだ。「怖い」などとは、決して口には出さなかったが。
「一樹会長はホラーとか苦手そうですよね」
「五月蝿ぇぞ颯斗ー………」
バレてるし…!
一樹は枕に埋めた顔を上げ、隣に立つ颯斗を見た。ゲームのプレイ中、突然大きな音がした時以外特に驚いた様子を見せなかった颯斗に、一樹は尊敬の念すら抱く。
「お前は…ホラーとか平気なタイプ?」
「割と平気ですよ。」
「ふーん…」
颯斗はベッドに腰掛けると、まだ青い顔をしている一樹を見下ろした。恐怖と驚きの連続でやや放心状態にある一樹は、心此処に在らずといったようにぼんやりとしている。それがなんだか微笑ましく、颯斗はゆっくりと手を伸ばし一樹の髪の毛に触れた。
「っ、……颯斗…?」
「もう、何を驚いているんですか?お化けなんていませんよ」
くすくすと笑いながら優しく頭を撫でると、一樹は素直に肩の力を抜いて颯斗に身を任せる。緊張していた身体が颯斗に触れられる度に解れていき、後輩に慰められるって…なんだかなぁ、と一樹は内心苦笑していたが別段悪い気はしなかった。
しばらくして不意に一樹が颯斗の手を取った為、もうしばらく撫でていたかったのに、と思いつつも颯斗は大人しく手を止める。
「会長……?」
「…いや、…………もっとこっち来いよ」
「珍しいですね、会長から甘えてくるなんて」
「ばーか、甘えてなんかねぇよ」
多少の減らず口には目をつむり、颯斗は誘われるままにベッドに上がる。ちらりと窓に目を向ける一樹を見て、先程のゲームで窓から赤い液体が流れてきた時に彼が大層驚いていた事を思い出し、きっとまだ気になっているんだろうなと可愛らしく思った。
ちょっとした冗談で一樹に覆いかぶさるようにベッドのシーツに手を突いてみるがみるが、普段と違い全く抵抗してこない。それどころかどこか望むような瞳で見上げられてしまい、颯斗はいよいよ訝しむ。いつもなら、照れて赤くなったり抜け出そうとしたり…何かしらの抵抗があるのに今日はそれらが全くなかったからだ。
「会長……?」
「…………」
「もしかして、………そんなにさっきのゲームが怖かったんですか?」
「…う、五月蝿ぇって」
「…………」
一体、どこまで可愛らしいんだろう…この人は。
自分を見下ろす颯斗が口角を上げて笑っているのを見て口を尖らせる一樹だったが、颯斗がいることでこんなにも安心するのか…と改めて感じていた。腕を伸ばして颯斗の頬を包むと、感じる体温が恐怖に冷えた手の平に心地好い。
颯斗は張っていた肘を曲げ距離を詰めると、物欲しげに薄く開かれたそこにそっと唇を重ねた。
「、ん…」
最初は感触を確かめ合うような柔らかなキスだったが、一樹がねだるように腕を後頸に回してきた為に抑えていた衝動に火が付く。颯斗は一旦顔を離し一樹と視線を絡めると、二度目はより深く口付けた。熱く舌を絡ませ合い、唾液すらも愛おしげに嚥下する。
「んっ、……ふ、ッ」
舌が擦れ合う度にぞくりと腰が痺れ、熱を持つ。鼻にかかった声を漏らしながらも必死に颯斗のキスに応える一樹だったが、キス一つで頭を擡げ始めた欲を紛らわすように、…否、更に高ぶらせるように自らも熱く唇を重ねた。ぐい、と颯斗を引き寄せ、恐怖を忘れられる時間に溺れる。積極的な行動に驚いたのか、一瞬動きの鈍った颯斗の舌に吸い付き、甘く噛んだ。そして舌を捩込みまるで味蕾の一つ一つでキスの甘さを確かめるように舐め、唾液を啜る。
「か、いちょ……っん、…」
「…ん、……ぅん…」
首に回していた腕を解き、フェイスラインをなぞるように颯斗の肌を撫でる。一樹は颯斗の唇を濡らす唾液すらも惜しむように舌で舐め取り、そしてようやく唇を離した。互いに息が上がり、吐息はひたすら熱い。
「今日は随分と…積極的なんですね」
「……そういう気分なだけだ」
「ふふ、なんだか…妬いてしまいます」
「はっ?」
一樹の耳元に唇を寄せ、緊張に固くなる身体にゆっくりと体重を乗せる。颯斗は髪の毛を掬い一樹の耳に小さくキスをすると、言葉を続けた。
「今、一樹会長の頭の中は…ホラーゲームの事でいっぱいでしょう?……それがなんだか、悔しくって。」
「…そんな嫉妬、聞いた事ないぞ」
「えぇ、僕もまさか、こんな気持ちを抱くなんて思ってもいませんでした…」
ある意味、ホラーゲームが怖いです。
怖い、というよりもある種楽しんでいる節が見受けられるが颯斗からしてみれば真剣で、一樹の中の"颯斗"が占める感情を"恐怖"に横取りされたような…その影響力は怖かった。ならばそんな感情には早々に退散してもらわねば気が済まない。
「ところで一樹会長、…今夜は一人で眠れそうですか?」
そう囁くと、一樹は「うっ…」と息を詰める。ゲームによる恐怖心も宛ら、何より先程のキスで高ぶった身体を一人で持て余すなど出来るはずもなく…一樹は伏せ目がちに小さく返した。
「分かって聞いてるだろ、お前…」
「さぁ、どちらでしょう…」
「……っ、……………寝れるわけ、ないだろうが…。」
「…わかりました。」
くすっ、と微笑み、颯斗はもう一度一樹と顔を合わせる。髪を撫で、額、頬と口付けていくと一樹はぎゅっと目を閉じ、唇を引き結んだ。
「駄目ですよ…、一樹会長…」
「んっ!…んん…っ、ぅ…ぁ…」
唇を舐め、既に反応している陰茎をスラックス越しに摩ると、一樹は小さく声を漏らす。緩く握るようにして手を上下されると、もどかしくじりじりとした快感が迫り上がってきて、それをごまかすように歯を食いしばった。
「くっ、ぅ……!はっ……やと…ッ」
「どんどん硬くなってきましたね、一樹会長のココ……」
「んん!っは、ぁ……あ…ぅ…!」
親指の腹で先端をぐりぐりと押され、思わず肩が跳ねる。高い声が出てしまいそうになり咄嗟に手の平で口を押さえるが颯斗が自分のベルトを外す音を聞き、意識が逸れその腕から力が抜けた。すると颯斗はそれを見計い一樹の両手首を掴み頭上にまとめてしまうと、右手で前を寛げていく。
「声を抑えるのは無し、ですよ?誘ったのは会長なんですから…」
「……ぅ…っ」
「僕だけの事を考えて下さい。……そうすれば、怖くないですよね?」
下着からすっかり硬くなった陰茎を取り出し、少しずつ溢れ始めたカウパーを掬う。ゆっくりと扱いていくと一樹は掴まれた両腕を震わせ、そして荒い呼吸のままニヤリと笑うと最後の悪態をついた。
「んっ、…ん!………はっ、お前より怖いもの、なんて…あるかよ……っ」
「ふふっ、もう、十分元気ですね」
そんなに元気なら、もうゲームなんて怖くないでしょう?明日も学校がありますし、ここで終わりにしましょうか。
根元から先端まで、濡れた指先を這わせる。一樹がその微妙な刺激にクッと息を詰めたところで、颯斗は両手の自由を奪っていた手を敢えて離した。
「ぅあっ!あ、ぁ……あ…っ、颯斗…ッ」
返事を待たずに、颯斗は陰茎を扱く手を速めていく。次第にくちゅくちゅといやらしい音が耳につき、一樹はカァッと顔を赤く染めた。自由になった手は、今度は口元を塞がず…颯斗のワイシャツの裾を掴む。
「んっ、んん…!っぁ…終わり、とか……ッ、く…お前だって…無理なくせに…っ」
「そういう時は、素直に抱いて欲しいとおっしゃって下さい。
でも、ちゃんと声を聞かせてくれましたし…今回は特別に、いいですよ……」
可愛らしくて、くすりと笑みが零れる。自分を欲しがる仕草を見せるくせに、言葉だけが素直になりきれない。それも魅力的だがやはり言葉も欲しい、颯斗は如何に一樹をとろけさせるか……その想像に口元の笑みを深めた。
ローションに塗れた指が、ワイシャツ一枚の格好の一樹の下腹部に伸びる。四つん這いになった一樹の尻をするりと撫で、後孔に指先が触れると一樹は思わず腰を引いて逃げた。
「逃げては駄目ですよ、会長……」
「待っ、……ぅあ!あ…ッ、〜〜〜っ!」
力の抜けていた身体に一気に二本の指が捩込まれる。ローションのお陰で痛みはなかったが、一度に二本はきつかったのか声にならない呻きを上げた。しかし颯斗がゆっくりと指を動かし始めると、直に快感に腕が震え出す。
「ふっ、……ぁ…、んんっ、ん……ッ」
「最初から指二本はキツいかと思いましたが………大丈夫そうですね」
そんなに欲しかったんですか?と颯斗が内壁を指の腹で擦ると、否定の言葉を吐こうとした一樹の身体はビクッと跳ねる。
「っあ!ぁ…ッ、はや、と………っ!はぁ、あ、あ…っんんぅ…!」
「ふふふ、そんなに締め付けて……。でも、まだですよ…?」
「ひ、っぅ…あ、ああぁっ!んっ、くぅぅ……ッ」
最初は気遣うようにゆっくりと動いていた指は、一樹の声色が少しずつ変わっていく度に段々と攻め立てるように激しいものに変わる。ローションがぐちゅぐちゅと卑猥な音を立て突き入れる指に抵抗が無くなってきた頃、颯斗は指をもう一本足しぐるりとナカを抉った。
「ああぁっ、あ…!は……、んっ、んぅぅぅっ!」
上体を支える腕に力が入らず、結果腰だけを上げた体勢になってしまっても一樹にはそれを気にする余裕がなかった。指をわざと広げられたりすると、普通なら痛いはずなのに、浮いた身体は次の快感を期待してしまう。
「んっ、あ、ぁぁ…!そ、な……広げんなっ…、ひっ!、ぅ…!やぅ……颯斗ぉ…っ」
「そんな声を出して…。もう我慢できませんか……?」
「っ!?、…ぁ……抜…ッ、」
意地悪く…ゆっくりとした動きで指を抜かれ、一樹は突然無くなったナカの感覚にうっかり「抜くな」と口にしてしまいそうになる。しかし未だ残っている理性がハッと口をつぐませ、ちらりと颯斗の方を振り向かせた。颯斗からしてみれば物足りなりなそうな目をしている一樹の思考などお見通しなのだが、その意思は汲まず焦らすように後孔を撫でる。
「ふ、ぅあ!ぁ……っ、それ…や、だ…ッ」
「ひくひくして、可愛い…。……もう…、欲しいんでしょう…?」
「っ、ぁあ!あ、んんんんっ、ぁ…はぅ…!」
ぬるついた中指の第一関節までを入れ、それだけで浅く出し入れする。違う、と一樹の頭の中で欲が鎌首を擡げる。入口だけを浅く弄られても奥が疼いてしまって仕方なく、身体の熱は上がるばかりだった。無意識に指を締め付けてしまうと、颯斗の笑みが零れるのが恥ずかしい…だが、一樹はこうなっては自分から言わなければ彼がこのままずっと焦らし続けるのだと分かっていた。
「は、あっ、あ……颯斗…颯斗…っ、」
欲しい快感が貰えないもどかしさに、半ば無意識に右手が下肢に伸びる。一樹は自分の陰茎を握り込むと、ローションが伝い淫猥さを増したそれを扱いた。
「あっ、ぁ…ぁ……、んんっ」
「、…絶景ですね」
手を動かすと先走りとローションが混ざったものがぽたりぽたりとシーツを濡らしていく。確かに気持ちいい、だが、いくら自分を慰めようとしても欲しい所の快感が無い…。余計に「欲しい」という思いが鮮明になってしまい一樹は内心舌打ちするも、閉じられない唇から漏れる自分の喘ぎ声を抑える事ができない。ぼんやりとした頭ではまともに思考が出来ず、いつしか一樹は舌足らずに颯斗を求めてしまっていた。
「んっ、んぁ……は、…颯斗…っ、も……もう…」
「もう…、なんですか?」
「っ、…ぅ………早く……挿れ、ろよぉ…ッ」
眉根を寄せ、はぁ、はぁと荒い呼吸をしながら僅かに顔を動かし颯斗を見る。ローションが纏わり付いた手は力無くシーツに降りた。
颯斗は一樹の言葉に一旦口元に緩やかなラインを浮かべ、望み通りに陰茎を取り出しはしたが…すぐには挿入せずに後孔に擦り付ける。腰を掴まれぬるぬると陰茎が前後する度に、あと一歩で手に入らないもどかしい感覚に震えた。加えて、擦り付けられるとぞくぞくと背筋が痺れ…一樹は堪らずに高い声が出てしまう。
「ひぁっ!あ、あ…うぅん……っ、…それ止めっ、ぁ、ああぁ!」
「僕のを濡らさないと…痛い思いをするのは一樹会長、…っですよ……」
「はぅ、ん……っ いい、から……痛くて、い…からぁ…!早く……欲し…ッ…」
「…っ、………そういう事をおっしゃるのは…反則です…っ」
濡らす云々は一樹を焦らす言い訳に過ぎなかったのだが予想外に切なくねだられ、颯斗自身の余裕が無くなっていった。
颯斗が硬くなった陰茎を宛がい先端をずぷりと挿れていくと、ようやくの挿入に一樹は声も出せずに身悶えた。望んでいた熱に、溶けそうになる。
「はっ、ぁ……あぁ…ッ」
「くっ、………一樹会長…、大丈夫…ですか…?」
一樹を焦らす事を楽しんでいた颯斗だったが、本当は早く挿れてしまいたかった。だがひくついた後孔に自身が求められている事の優越感や征服感は、自分の欲を押さえ付けてでも味わうに損はない。おまけに可愛らしいおねだりまで聞けたのだから、颯斗は口元が緩んでしまって仕様がなかった。一樹のナカは熱く自分を締め付けてきて、それだけでも達してしまいそうだ。
「んっ、んん…大丈夫、だから…ぁ…!………動…け…っ」
「ふふ、どうせならもっと可愛らしく言って下さい…っ」
「ふざけ、っあ!ぁああああっ!あぁぁ…あ…ッ」
根元まで挿入した陰茎を引き、そして強く腰を打ち付ける。身体を揺すられる度に一樹は途切れ途切れの嬌声を上げ、眩暈のしそうな快感に喉を反らせた。腰を掴む颯斗の指が食い込むのすら、愛おしい。
「ふぁっ、あぁぁ、ん!く…颯斗…、はや、とぉ…っ」
「ん…っ、まだ……足りませんか…?」
「はっ、…ああんっ、んん…足り、な………もっと…もっと奥、…いっぱいちょうだ…っ、んあぁ!」
「えぇ、貴方の望む通りに…っ」
颯斗は一樹に覆いかぶさると、手を前に回ししとどに濡れた陰茎を上下に扱いた。先程まで自分で慰めていたが颯斗に触れられるとその比でなく気持ち良く、一樹は涙が零れそうになる。
「んんぅぅぅっ!あ、あっ…ぅ……だめ、ぇ…ぁ、ああぁっ!イく……もう…イきそ…う、ぅあああッ!」
すっかりとろけた表情で颯斗の名前を繰り返し呼び、ぎゅう、と後ろを締め付けた。それに颯斗が息を詰めるのがどこか遠くに感じられ、一樹は限界を感じシーツをきつく握る。颯斗がより激しく陰茎を擦ると、いよいよ呼吸が短くなっていった。
「颯斗…っ、や、あっ、あ……ああぁ!」
「僕も…もう……、クッ…!」
「んああぁっ!イく…ひ、ぃ、くぅぅっ!あっ、あっ、……ああああぁッ、ああ!!…ぁ……」
びくびくと身体が震え、颯斗の手の内に精液を吐き出す。焦らされていた分絶頂の感覚が強く、一樹は虚ろな目で細い呼吸を繰り返した。
だが、まだ達していなかった颯斗が再び腰を動かした為、一樹は目を見開いて悲鳴を上げる。
「ひっ、くぅぅ!!あ、やめ…はやとぉ………っ、今…うごかな……ッ!んんんっ」
「すみません…っ、止められない、です……!」
「はうっ、んんっん…!あ…あ、ぁぁあッ!」
イったばかりで敏感になった身体には刺激が強過ぎ、一樹はされるがままになっていた。もう目の前の快感しか考えられず、唇からたっぷりと濡れた舌を覗かせて喘ぐ。
颯斗がナカにどくどくと吐精すると、一樹はその感覚にまた声を上げた。
ホラーゲーム騒ぎからまた数日後。生徒会室で翼と月子の二人を待つ間、颯斗がまたあのゲームをやりませんかと提案してきたものだから、一樹はあからさまに嫌な顔をした。
「おや…、なんでそんなに嫌がるのですか?」
「あーのーなー……。」
単純にホラーゲームが怖いというのもあるが、自分と一緒にという誘いが腑に落ちない。
純粋そうな顔して何考えてるかわかんねーからな…。
一樹は頭を掻くと、取り敢えず理由を聞いてみる事にした。
「調べてみたら、どうやらエンディングが数種類あるみたいなんです。この前プレイした時は"彼"が亡くなってしまいましたから…今度はもう少し上手くやってみませんか?」
「…………」
確かに前回プレイした時は主人公をサポートしてくれたキャラクターが死んでしまい、一樹はなんとも歯痒い思いをした。だが同時に、強制的にあの夜の情事を思い出してしまい…若干頬が熱くなるのを感じる。あのあと、確かに「眠れない」という事にならずに済んだが…。
いやいやいや、俺は何を考えて…!
「…遠慮しとく」
違うエンディングが気にならないわけではない。…しかし、ゲームの恐怖感に慣れたわけではないのだ。万が一また後輩に慰められるような事があれば…、それはいくらなんでも情けなく思える。
「そう…、ですか?……実は…僕も一人では少し怖くて…」
「え…っ?」
「ですが、仕方ありませんね。大丈夫です、一人でも出来ますし…クリア出来たらまたお伝えします」
「…ちょっと、待てよ」
どこか儚げに微笑む颯斗に、一樹は待ったをかける。
ホラーは平気とか言ってたけど、やっぱ一人だと心細かったりするのか?なんだ、可愛いところもあるじゃねぇか!
「ふっふっ、そうかそうか」
「…なにか…?」
「いや、お前がどうしてもって言うなら付き合ってやらない事もないぞー?」
「本当ですか?………ふふ…嬉しいです。」
「おう………、…って、なんだその顔は…。…ハッ!ま、まさか颯斗お前…!!」
ふわりとした笑みを浮かべた後、何やら不敵に笑い出す颯斗を見て一樹は「まさか」と息を呑む。何故すぐに調子に乗ってしまったのかと唇を噛んだ。
「今の演技か…!?」
「さあ…どうでしょう」
「どうでしょう、じゃねぇぇぇぇ!!」
あああ、と呻きながら頭を抱える一樹だが、決して前言を撤回しなかった。どんな形であれ颯斗と二人でいられれば良いという無意識な感情の表れだったのだが、当の本人はそれに気付かずにホラーゲームに対して今から緊張している。颯斗はそんな彼を見てくすくすと笑うと、「何笑ってんだよ」と唇を尖らせる一樹に優しく返した。
「いえ、何でもありませんよ…一樹会長」
自分を無意識に好いてくれる。
その見えない安心感があるからこそ、颯斗は一樹に作らない笑顔を向けられるのだった。
end
ハルキ姉さん!66666企画への参加ありがとうございました!遅くなってすみません(滝汗)
甘…甘ぁぁぁうぉぉぉぉと悩んでいた時に、姉さんオススメのホラーゲーム「Ib」をプレイしてみたのです。いやー、初めは怖かった!
そして、あっ…、とゲームしてる二人を思い付いて…………というわけで、お気づきかもですが、二人がプレイしてたゲームはIbでした!\(^o^)/笑
甘くなれ…た…?w;;
こんなんですが、もしよければお持ち帰り下さいませ!(人´¬`)!
2012.6.14
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