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Novel
★【男主夢】12星座と濃い物語07








〜夜空の廊下〜




「神楽坂…!はあ…助かっ、た……」


"双子座の部屋"を出ると、まるで思いが通じたかのように神楽坂が扉の目の前で待っていてくれていて…俺は安堵の溜息をついた。


「んっ、く……回復…したい…」


まだ媚薬が残っていて、俺は扉に手をついたまま言う。意図せずとも誘うような声色になってしまい、それが恥ずかしいやらで顔が赤くなった。


「わかった…」


ごそごそと神楽坂が例の回復アイテム(マムシの干物)を取り出し、俺に差し出す。ホント…神楽坂がいなかったらヤバかったな俺…。マムシの干物を受け取ろうと扉から手を離し神楽坂に近寄った、…のだが、


「…危ないから、支えてあげる」


「っ!?」


不意に神楽坂が伸ばしてきた手に左手首を掴まれ、ぐいと引き寄せられた。抵抗なんて全く出来ないまま、気が付いたら神楽坂の腕の中…。ちょっ、近い…!つーか密着って!


「神楽…坂……、離せ…ッ」


薬に浮された身体と頭では、抱きしめられるだけで心臓が早くなってしまう…。押さえ込んでいた、早く消そうと思っていた欲求が鎌首を擡げ、俺は神楽坂の制服を握った。…っ、馬鹿!何してんだよ…!


「離したくなさそう…だけど、大丈夫?」


俺の頭を撫でるコイツは、計算でやっているのかどうなのかはわからないが、それだけの行為で更に身体が熱くなるなんて…。


「うぅ……神楽坂ぁ…、熱い…」


「……、…アンタのそんな顔…初めて見た…」


「は…?」


「…なんでもない」


神楽坂の声は元々大きくないため、更に小さな呟きを聞き取る事は出来なかった。
俺は神楽坂に身体を支えられながらマムシの干物を何とか口に入れ、咀嚼する。ごくんっ、と飲み込むと、前回食べた時と違い身体の回復を顕著に感じる事が出来た。身体が軽くなって頭がスッキリ…なんて言うと怪しい薬みたいだが、身体の状態が状態だったためこの表現が最もしっくりくる。


「お、…おぉぉ!」


そして回復すると、現在の状況がハッキリと認知出来てし……ま…


「!! わ、悪い!!」


うぎゃぁぁぁよく考えたら…恥ずかし過ぎるぞこの状況!!その事にハッとして、俺は大慌てで神楽坂の腕の中から逃げ出した。顔を赤くしてあわあわとする俺が余程面白かったのか、神楽坂はくすっと笑みを零す。


「わ、笑うんじゃねぇよ…」


「ん。面白い顔」


「顔…って、それ酷くねぇか!?」


「褒め言葉……多分」


こんちくしょう!
しかしギャーギャーと喚いたお陰で、神楽坂から逃げた後に妙な雰囲気にならずに済んだ。もしかしたら…神楽坂なりの気遣いだったのかもしれない。


「じゃ、回復ありがとな!」


回復は残り二回か。前半二回、後半二回なら中々いいペースなんじゃないか?俺は神楽坂に別れを告げると、足取り軽やかに廊下を進んだ。
次は蟹座かー、と思いながら歩いていると、もう大分見慣れた扉が視界に入ってきた。「69」の数字に見えなくもない蟹座の記号と、「07」の標札。蟹座は誰だろなー、と知り合いの顔をテキトーに思い浮かべながら、扉を開いた。















〜07.蟹座の部屋〜





「……………」


部屋の中は、砂浜だった。
"魚座の部屋"みたいに海があるわけではないが砂はしっとりとしていて、砂漠的な場所ではないとわかる。いや、それだけならまだいいんだ。どういうわけか……この部屋には入口以外に扉が無かった…!


「…無いよな」


さっきの"双子座の部屋"みたいに、入口の隣に出口があるパターンなのかとも思ったがそういうわけでもなく、俺は途方に暮れる。部屋の大きさは15m四方くらいだろうか…?結構広い。


「う〜む…………、…む?」


取り敢えず部屋をウロウロと歩いていると、砂浜の一部に穴を見付けた。「む」って…あー、あぁアイツ!星座科の宮地!宮地みたいな声が出た事に面白くなって、一人で内心笑いながらその穴に近付く。穴は直径1m程度で、どうやら奥に深く続いているらしい。そしてこれは…潮の香り…?
あ、蟹座だから、コレは蟹の巣穴なのかな。
成る程成る程と思いながら、俺はヒョイッとその穴に飛び込んだ。1mくらいの深さだったが、奥に進む道は高さがちゃんとある(2mくらいか?)。躊躇いなく飛び込んだが、別に考え無しってワケじゃあない。ほら!人喰い蟹とか聞いた事ないしさ!
………まあ…大丈夫…だよな…。
いざとなったら美味しく頂いてやろう、とかくだらない事を考えながら奥へと進む。


「蟹座……蟹座…」


なーんか、割と近しい奴にいた気がするんだよなぁ蟹座…。………!あ、そうだ、いたいた、蟹座!!粟田の奴!アイツ確か蟹座だったよなー。粟田蟹…悪いけど、なんか細っこくて身が少なそうだな。
それにしても、なんで電気もないのに明るいんだろうか。いや、この世界の事象に突っ込んじゃいけない気もするが。


「……お?」


しばらく進み、俺は泉みたいに海水が溜まってる所を発見した。濡れて色濃くなった砂を踏み締め近付くと、そこはどうやら浅瀬みたいな所らしかった。天井が高くドーム状になっている。そして浅瀬の横の砂浜の先には二つの分かれ道…。どっちに行きゃいいんだ?


「あ、蟹!」


どちらに進むか悩み、ふと綺麗な色をした海水に目を移すと、浅瀬に沢山の蟹がいる事に気が付いた。5〜10cmくらいの大きさの蟹達が、じーっと俺を……って…見てくるわけないか…。気のせい気のせい。
…と、その時だった。


「あぁ、名無し。やっと来たんだな」


「っ!?」


聞き覚えありまくりの声に、蟹に向いていた気持ちが跳ね上がる。分かれ道から来たのだろうか…。穏やかな表情で俺に近付いてきたのは、クラスメイトの東月錫也だった。粟田じゃなかった…、ていうか、錫也って蟹座だったんだなぁ。
よくよく考えたら、錫也の前髪って蟹のハサミみたいだし、納得。…あ、これは言わないでおこう…絶対殺される。


「えーと、お前が"蟹座の部屋"の番人か?」


確認の為に聞いてみると、錫也は「そうだよ」と言いながら頷いた。錫也の身体には何匹か蟹がくっついていて、歩いたり身体を休めたり…まるで母親の懐で休んでいるかのように、リラックスしているように見えた。流石オカンだぜ…。


「んー、錫也は何がお望みなんだよ?」


"双子座の部屋"では、不用意に近付いたせいで酷い目に遭ったからな…回復しなかったら今頃腰を押さえていた。だから錫也に自ら近寄らず、警戒しながら次の言葉を待っていたのだが…


「うぉわ!?」


俺は錫也にばかり意識を集中させていたから、足元からはい上がってくる感覚に気付くのが遅れてしまった。浅瀬から出てきたらしい蟹達が、何匹も何匹もズボンを上ろうとしてくる。う、うわ、…別に蟹は嫌いじゃないけど…流石にこれは…!


「あっははは、名無し…いいリアクションだな…っ」


「笑ってんじゃねぇ!!なんだよコイツら!?」


腰を屈めて、膝までよじ登ってきていた蟹を引きはがして砂にそっと放る(流石に叩き落とすのは可哀相だ)。しかし、優しくしてやっているのに!俺が手を伸ばした拍子にとある一匹の蟹が俺の指をハサミで挟んできた!


「いってぇぇ!!」


人間だったら力を加減してくれたりもするだろうが、相手は蟹だ。ガッチリギッチリ力強く挟んできて、一向に離してくれない!何より痛い!


「うぅぅ…ッ!」


俺が蟹のハサミを開こうと奮闘していると、錫也が俺の側に来てその蟹に……話し掛けた。


「こら、おいたはそれくらいにしなさい」


いや、いやいやいやオカン…お前、蟹と会話しちゃうような電波キャラじゃないだろ…って、嘘!?


「取れ…た…」


どういう事だ…。俺が踏ん張っても決して離さなかったハサミを、蟹は錫也の言葉を理解したみたいにすんなり力を抜いたのだ!俺は呆然としたまま蟹を砂に置くと、錫也を見上げて感嘆の声を上げたら。


「錫也…すっげーな…!」


「まあ、一応この部屋の番人だからな。」


そういうものなのか。いや、そういうものなのだろう。じゃあ、まだ足に引っ付いてる奴らにも降りるように言ってくれないものか。…だが、そう頼むと錫也は首を横に振った。


「なんでだよ!」


「悪いな、名無し。これがコイツらの望みだから」


「どういう…っ!?」


「俺の望みは、コイツらの望みを叶えてやる事。だから、俺の"お願い"は………、名無し、蟹達が何をしてきても絶対に抵抗するな。」


それだけだから、とニッコリと笑う錫也に俺はぽかーんと口を半開きにする。蟹がなんだって?蟹が何をしたいって?
俺が錫也の言葉を反芻していると突然大きな蟹が俺の足首をハサミで攻撃してきて、俺は驚いて砂浜に尻餅をついてしまった。さっきと違い、攻撃というより驚かすのが目的みたいな力加減だった。


「っ!!」


すぐに身体を起こそうと砂に手をつくが、しかし俺が尻餅をついた事で身体をよじ登り易くなってしまい、蟹達が一斉に俺に群がり始めた。思わず振り払いそうになる、が、番人に言われた事に背く事は出来ない…。俺は作った拳を解くと、阿呆みたいに大人しく蟹に身体を登らせた。


「す、錫也…っ コイツら、何したいんだよ…!」


足の感触が服越しに伝わりくすぐったい。


「……すぐに分かるよ」


「すぐにって、…うあっ!?」


半袖のワイシャツの袖口から、二、三匹の蟹が忍び込んできた。ちょ、待て…っ!くすぐったいんだって!


「ふっ、く…!おい!入ってくんじゃ、ね、ぇ…ッ」


カサカサと横歩きに移動し、こそばゆさに身体と声が震える。だが蟹はそれ以上は先に進めず、ワイシャツと身体に挟まれて身動きが取れなくなっていた。取り敢えずホッと一息ついた、…のだが。


「ボタン外せ?あぁ、そうだな」


蟹と何を話しているのか、錫也は肩口に立つ蟹に目配せをして、俺のワイシャツに手を伸ばしてきた。


「錫也っ!?」


「名無し、コイツらがお前に触りたいらしいんだ。ボタン外すよ?」


母親のように慣れた手つきで俺のワイシャツのボタンを外しにかかってきた錫也。そんな事したら、蟹が…!


「ひっ!?待っ……くすぐった…ぁ…!」


俺が逆らえないのを知っているからだろう、錫也は俺の動揺なんて露ほどにも気にせずボタンを全て外してしまった。すると蟹達が「待っていました」と言わんばかりにわらわらと俺の腹に…!小さな沢山の足が歩き回る感覚に腹がひくつき、手が出そうになるのを抑えるので精一杯だ。


「っ、ん…!!」


そのうち、胸まで上がってきた蟹の足が俺の乳首を踏み、また別の蟹が歩き…他よりも幾分敏感な所に触れられ俺は吐息を漏らした。一体どんな思考回路をしているのか、ぶくぶくと泡を吐き俺の乳首に付け始めた。やや粘調性がある泡…、確かこれって、蟹が取り込んでる水分が足りなくなってるサインだったよな。…って、今はそこが問題なんじゃない!
泡を吐いた蟹は一旦俺から離れ、浅瀬に水を取り込みに行く。だがそちらに目を向けている隙に、他の蟹達がやってきた。するとその蟹達は…ぬるついた乳首を幾本ものハサミで突いたり撫でたりしてきたのだ。


「うっ!んん…!
なん、……あ、ぁ…ッ」


少しざらついたハサミが乳首を擦り、泡と混ざって俺を刺激してくる。反対側の乳首も同じようにされ、俺は歯を食いしばってその感覚に堪えた。


「へん、たい…!ひ、ぅあ……っ」


「それに感じてるお前も、大分変態だと思うけど?」


「すず…っ、ん、んん!?」


震える腕で身体を起こしていたのだが、突然錫也にキスをされビックリして腕の力が抜けてしまった。錫也が背中を支えてくれたので背中を打つ事はなかったが、そっと砂浜に寝かせられてしまう。抗議の声を上げようとしたが、唇を開いた刹那錫也が舌を捩込んできた為、声は熱く溶けていった。


「ふ、っぅ……す……ず…、やっ、ぁう、…!」


「んっ……ん…」


髪の毛に指を絡ませ、俺の事を引き寄せる。蟹に乳首弄られながらキスなんて本当に訳がわからないが、錫也が漏らす吐息が目茶苦茶えろくて…気が付けば俺も夢中になってキスに応えていた。また蟹が泡を吐いたのか、ぬるぬるが増して気持ちい……い、いや、気持ち悪いって!!


「ぷあっ…錫也ぁ、…っく………」


「…えろいな……」


「くそっ、…ん、ぁ………見ん、な馬鹿…!っ、ウギャッ!!!」


い゙っってぇぇぇっ!!!
錫也に対して悪態をついたら、いきなり蟹に右の乳首を挟まれた!!痛い痛いめっちゃ痛い!


「うゔぅぅぅ〜!!離せ…!!」


ズキズキと痛む。堪らず、蟹に手を伸ばし剥がそうとしたのだが…慌てていて判断力が鈍っていた……そんな状態で引っ張ったら更に…!


「ひっ、あ、………ッッ!!!!」


ビクッと背が反り、声が出ないくらいの痛みに俺は目を見開いた。ああ俺の馬鹿…!


「なんだ?自分って引っ張って。名無しってもしかして…痛い方が好き?」


「ち、が…っ、あ゙………取って…くれ…!」


「コイツらがさ、俺に逆らうなーって…。」


な…っ!?涙の膜でぼやけた視界で錫也を見上げると、どこか楽しそうに口元を歪めているのが見えた。錫也の"お願い"は蟹の望みを叶える事、そしてその蟹が言ったって事は…!


「本当、に…蟹が言ったのかよ…!?」


「当たり前だろ?」


即答だった。


「……それで、返事は?意味、もう分かってるよな…」


「……っ」


なんでクラスメイト…しかも普段仲良くしてる奴にこんな事されなくちゃならないんだ!けど、蟹に乳首を挟まれる痛みは半端じゃない…っ。俺は観念して、口を開いた。


「分かったから…!取っ、て……くれぇ…!」


「本当に分かったのか…?口先だけじゃない?」


なんだよ、分かったって言ってるだろ…!


「なら、『乳首挟まれて気持ちいい』って…言ってごらん?」


「なっ、…!?」


「名無し。」


馬鹿げた無茶振りに、俺は目を丸くした。痛いだけだと言うのに何故そんな事を言わなければなかないのか。…が、有無を言わさぬ錫也の声と段々と強くなる痛みにに竦んでしまい、俺は涙を呑んで言われた言葉を繰り返した。


「はっ、うぅ゙…ち、くび……挟まれて…きもち、ぃ…!」


「ふふっ…よく言えました。
ほら、分かったみたいだから離してやりな。」


羞恥に、顔から火が出そうだ。錫也の言葉で蟹はようやく俺の乳首を解放し、まるで労るようにそこに泡を吐く。すると錫也が乳首に手を伸ばしてきて、泡に濡れたそこを指先で撫でてきた。挟まれていたせいで酷く敏感になった乳首を触れ、痛くて身体が跳ねる。しかし蟹のハサミとは違い、感触は温かく滑らかで…俺はうっかり吐息を零した。


「んんっ!」


「赤くなって、可哀相に…」


「んっ、…ぁ…ん…」


「…名無し、気持ちいいのか?」


泡がぬるりと指を滑らせ、痛いだけのはずなのに…何故か感じてしまう。こんなの…嘘だ…っ


「違う…!気持ちよく、な……い…ッ」


「嘘をつく悪い子には、もっとお仕置きが必要か?」


「ッ!!」


そう言って錫也は、蟹を移動させ俺の股間に群がらせる。お仕置き、って…まさかそんな所をハサミで痛めつけるつもりじゃないだろうな!?俺が青ざめた顔で見下ろすと、大きなハサミを持った蟹が、甘噛みならぬ甘挟みで、半勃ち状態の俺のペニスをズボン越しに挟んできた。痛みはないが乳首への刺激で熱くなった下半身をそんな風にされ、俺はビクッと腰を震わせた。


「やっ、やめ……っひ…!」


錫也まで、蟹と一緒になって俺の下半身をゆっくりと焦らすように撫でてくる。


「あっ、ぁ…あ………っ」


「名無し…触って欲しいんだろ…?だったら正直に言いなさい」


「そんな、事……あっ、んん!」


胸の蟹までが俺を追い詰めるように、硬くなった乳首を力を加減してやわく挟む。その度に腰がぞくぞくして、俺は呼吸の感覚が短く…荒くなっていった。


「あっ、ふ…うぅぅ…!……や、駄目…ぁ………それ…気持ちいぃ…ッ」


砂が頬につくのも気にならない。顔を逸らすが砂浜のひんやりとした温度でも頬の熱は冷めず、俺は自分が無意識に口走った内容すらも気に留まらなかった。


「錫也っ、頼む…、……んぅっ、触っ…て…!」


「今も触ってるけど…?具体的に言ってもらわないと分からないよ」


「んんん…っ!この…鬼畜や、ろう…!はあ…はぁっ…」


わかってるくせに、わざとこういう事を言いやがる!でももう、俺は限界だった。


「っ、直接…触って……」


「それで?」


「くっ、ぅ…!俺のちんこ…いっぱいこすっ、て…イかせてくれよぉ……っ」


熱にぼんやりとした頭では、どう言えば錫也の言う"具体的"になるのかが考えられず、稚拙な言葉になってしまう。もし録音されてたら、今すぐに舌を噛みきって死にたくなるレベルだ。…これで満足げに笑う目の前の男は、変態以外の何者でもないと思った。


「名無し…相手が俺だからいいけど、俺以外の男にそんな可愛い事言うんじゃないぞ?自覚ないかも知れないけど、お前は…」


「こん、な…状況で…っ、"蟹の念仏"は御免だぜ…!」


つーか、お前が一番危ないから!
錫也は蟹に場所を空けるよう指示し、俺のベルトを外しジッパーを下ろすと、下着の中に手を入れペニスを握り込む。絶対言わないが、早く触って欲しくてたまらなかったトコロだったので、俺は期待に目を細めた。早く…手、動かせよ…っ


「こんなに濡れてる…、これは蟹の泡じゃないよな?」


「っあ!…あぅっ…」


くすくすと笑い、取り出したペニスをゆっくりと上下に扱きながら声を弾ませる錫也。指摘された通り俺のは既に先走りが溢れていて、錫也の手が動く度にくちゅくちゅと恥ずかしい音がした。


「んんぁ…、錫也ぁ……っ!…」


「どこが気持ちいいのか…言って。」


「っう…、く………乳首も…ちんこも…こすられて、…っひぁ!…や……気持ちい…!」


言いたいわけじゃない、錫也の言う事を聞かなければならない状況だから仕方なく言っているだけだ。しかし口に出して言うと、本当に"気持ちいい"のだという感情が強まり、俺は足を震わせた。


「やらしい事言って、もっとやらしい気持ちになった…?」


「違っ…や、あぁっ!そな…強くこす、たら……イ…っ、イっちま…ぁああ!…ひっ」


「言わないと、もっともっと気持ち良くなっちゃうぞ、名無し。まぁお前は…虐められた方が嬉しいのかもしれないな」


「んな…ワケ、ねーだろ、あ……やぅぅんっ!あ、あっ…」


指先で尿道をぐりぐりとされて、俺は無意識に腰を錫也に押し付けるように浮かせてしまう。頭がぼうっとする…。


「す、錫也…っ、錫也ぁっ 俺…もう駄目…ぇ…!イく…ぁ……!」


「じゃあ最後。イかせて、って…可愛くおねだりして…」


腰に蟹が移動する感覚を僅かに感じながら、俺は言われるままに返事をする。


「俺の…俺のちんこ…っ、ひ……ぐちゅぐちゅして…イかせて…!、はぁ……くっ…すずやの手で…イき、たい…っ!」


「いいよ…、ほら、イって。」


「っっ!ひっ、く…あぁあああ!はや、い…!アっ…イく…イくぅ、……っぃあ!挟む、なぁ…あっ、あっ…あぁ、んんんッ!!!」


錫也が扱く中、ある蟹が俺の亀頭をそっと挟み…俺はその刺激と相俟って呆気なく達してしまった。目を閉じて絶頂の余韻に痺れていると、何やら腹の上がこそばゆい。


「なん…だ…?」


そっと瞼を持ち上げ、俺は自分の腹を見……その光景に絶叫した。
蟹が…腹に飛んだ俺の精液を……食っ…食っ………!


「それは食い物じゃねぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」



















ピシッと服装を整え、身体に付いた砂を落とす。…なんて、これは錫也にやってもらったわけだが…。
錫也は肩に乗っていた蟹のハサミをポッキリと折ると、俺に手渡してきた。なんの躊躇いもない行動にギョッとしたが、その蟹のハサミはすぐに生えてきた。鍵用?の蟹のハサミはすぐ生え変わるようになっているらしい。


「この部屋の鍵は、蟹のハサミで開くんだ。…あ、あと、扉があるのは右の道だよ。」


錫也は二つの分かれ道の右側を指す。


「左行くと…どうなるんだ?」


「あっちには……人喰い蟹がいる」


やっぱりいるのか人喰い蟹!?…と思ったら、信じるなよ、と錫也に笑われた。なんだ…冗談か…!実は、右に行こうが左に行こうが結局合流して同じ扉に行けるらしい。


「じゃあ、そろそろ行くわ!」


「いってらっしゃい」


錫也に手を振り、じっとこちらを見つめてくる蟹達にも…嫌々手を振る。何となく、言われた通り右の道を行くと……扉を見付けた!左側を振り返るとそちらにも道があり、錫也が本当の事を言っていたのだと確認できた。
俺は二つの穴が空いた鍵穴に蟹のハサミを宛がい、ぐっと押し込む。ガチャンッと内部で解錠の音がして、ほー…変わった鍵もあるもんだ、と感心した。
ドアノブを掴み、扉を開ける。よし、あと五つだ!!













continue













2012.5.13

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