Novel
★媚薬【10*08】
10*08
ツイッターのまとめサイトで見かけたネタ
「〇〇しないと出られない部屋」というものがネットで流行っているらしい。直獅は最近入手したスマホでたどたどしいネットライフを楽しんでいたが、酒の勢いで少し卑猥な「〇〇」を眺めていた。酒の瓶を傾けコップを満たしながら、親指で画面を撫でる。「キスをしないと出られない部屋」なんてのは王道で、中には「セックス」だのなんだの、過激な傾向のモノもあった。それを題材にした漫画は酒のお供には丁度良く、冷房の効いた部屋で直獅はくくっと笑いながら楽しんでいた。水嶋が見たら顔を赤くしそうだな、とぼんやりした頭で考える直獅だったが、素面の直獅が見た方が顔を紅潮させそうである。酒の力とは恐ろしい。
ピンポーン…
「んぁ?」
直獅は眺めていたスマホから顔を上げると、室内に鳴り響いた呼び鈴の音に首を傾げた。今日誰か来る予定だったか?と壁にかかっているカレンダーを眺めるが、いや、今日の日付の欄には何も記載がない。つまり予定外の訪問である。
「誰だよ〜……」
重い腰を上げる前に、酒を注いだグラスをクイッと空けてしまう。立ち上がった瞬間少々よろけたが、すぐに立ち直り玄関へと向かった。覗き穴のガラスから外を細目で見ると、そこには琥太郎が上機嫌そうな様子で立っていたので、直獅は警戒を解いてドアを開ける。
「琥太郎センセ!なんだよ?」
「面白い物ができたから、持ってきた。入れてくれ」
「あいよ〜」
直獅は上機嫌で客を迎え入れる。琥太郎は、静かに後ろ手に部屋の鍵を掛けた。
「明日休みだって思うと、ついつい酒が進むんだよな〜」
直獅がケラケラと笑いながら琥太郎には緑茶を勧める。琥太郎は直獅を見つめ頷きながら茶を啜ると、「さて」という風に座り直した。
「天羽と面白いものを作ってな」
「なんで琥太郎センセまで変な研究してるんだよ……」
「まぁ聞け。こちらが、媚薬入りのチョコレート」
「び、や、く……」
「こっちが、普通のチョコレートだ」
「うぅん?」
「どっちか選んで食べてみろ。俺は、直獅が食べなかった方を食べる」
「!?」
〜直獅が食べたver〜
「あぁぁ!琥太郎センセが食べたらめんどくさそうだから、俺が食う!!」
「ほう、男らしいな直獅先生?」
「見直しただろ?」
直獅は差し出された二種類のチョコレートのうち……媚薬入りの方に力強く手を伸ばした。程よく冷えたチョコレートは適度な歯ごたえがありそうで、中身云々を無視し勢い良く歯を立てる。カリッとした歯ごたえ。コリコリ、ポリポリと噛んでいくとじんわり広がる甘み……。直獅は上質な味に満足し、一瞬……中身の事を忘れていた。
「〜〜〜ッ!?」
途端、ぶわりと首元から熱が湧き上がり、直獅は背筋を仰け反らせる。
熱い。熱だ。なんだ、なんだこれは!?まさか、これが…!?
「……ぁっ、ぁ…こたろ、せんせ…!」
「即効性があるようだな。どうだ?酒とは違う熱さだろう……?」
「ちょ、ま、って……これ…思ったより…やば…っくぅ!」
強い酒が一気に頭に回ったように、グワンと強い目眩が直獅を襲う。しかしその目眩は不快なものではなく、甘い痺れとして神経を揺らした。同時にやってくる下腹部の熱感……、直獅は琥太郎の衣服の裾を握り悶絶した。
「ゃ、ぁ……すごい…っ、やだ、これ…っ」
「何が……嫌なんだ?」
のんびりと茶を啜り、濡れた唇で耳元で囁く。それだけで直獅は震え、見上げる瞳は潤んでいた。琥太郎は喉奥でクッと笑うと、そろりと直獅の股間に手を伸ばす。たどる様にズボンをまさぐっていくと、ろくに触ってもいないのにがちがちに硬直した直獅自身が感じられた。
「こんなにして……。直獅、はしたないな」
「センセ……ッ」
「満足いくまで……ヤってやるよ」
琥太郎は慣れた手つきで直獅のズボンを脱ぎ去った。
〜琥太郎が食べたver〜
「結果分かってるのに食べたくないな……」
直獅はウロウロと手を泳がせていたが、想いを決めたらしい。自分が食べて乱れてしまうのは嫌なのか、やんわりと拒絶した。
「ふむ、そしたら俺が媚薬入りを食べる事になるな」
「それも…ううん……」
直獅は不服そうに唇を尖らせると、でも自分が食べるよりかは、とチョコレートを琥太郎に押し付けた。
「わかった。じゃあ俺が食べる」
「……うん」
琥太郎は自分が開発したものだからか、なんの迷いもなく口にチョコレートを放り込む。かりゅっと耳に心地いい音が直獅の鼓膜を揺らすが、今の振動は直獅にとってはある種恐怖である。琥太郎の変貌が怖いのだ。
「琥太郎センセ?」
「なんだ」
「大丈夫?」
「あぁ」
「本当に?」
「しつこい」
一日に書けるBL量が限られている管理人です
また気が向いたら書き足します書き足したい
2019.7.3
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