Novel
【男主夢】02のクマ*男主【星座彼氏が原因で死ぬ】
ツイッターのネタ用垢の方で、PCのペイントで汚い絵を描いていたのですが…フッと、描いてたそのネタで書いてもみようかなと思ったので…www
意味もなく星座彼氏が原因でアッサリ死にます。シリーズ(笑)
それぞれの星座彼氏に等しく主人公は二年生ですが、それぞれ性格は異なります。
全員はやらないかも…ヽ(д`ヽ;
case1.Aquarius
「あぁもう、汚ぇなあ…。」
翼に呼ばれたから寮の部屋に来たんだが、俺が到着してすぐに生徒会長から呼び出されたとかで…大慌てで生徒会室に行っちまった。どうやら仕事が残ってたのが発覚したらしく、生徒会メンバー全員で今からやるらしい。やれやれ、学年違うから翼に会える機会もそうあるワケじゃねーし……仕事め…、…いや、こればかりは仕方ないな。『ワタシとシゴト、どっちが大事なのよ!』なぁんて言ってみても、そのシゴトは俺の学園生活には繋がってくるわけで。それに、自分の役割を果たすってぇのは大事な事だ。俺は翼の事を応援するぜ。
生徒会の仕事は、一時間か二時間もあれば終わるらしいから部屋で待ってる事にしたんだが…、……暇だよなぁ…。今日は土曜日。特に急ぎの課題もないからゆっくりしようと思って来たところだったから、勉強道具なんて持ってきてない。…暇だっつの。マジ。
で、仕方ないからこのきったねー部屋を掃除してやるかなと腕捲りをしたとこだったんだが、ベッドの上に見慣れたクマのぬいぐるみを見付けて思わず動きを止めた。
「…あれ?」
見慣れたクマ…なんだが、いつもの赤色じゃなくて、なんかピンクっぽい薄い色をしている。色違いかなんかか?薄い腹を掴んでしげしげと眺めていたが、いやいやそんな事より部屋掃除だ、と思いベッドにクマを戻そうとした。
「ッ…!?」
だがその時、突然クマを持っていた右手の甲に鋭い痛みを感じて、俺は反射的にクマをベッドに叩き付けようと腕を振るった。ところが腕を降り下ろす直前に今度は指にも激痛が走り、俺はギクリと身体を硬直させてしまった。一向に引かないどころか益々増していく痛みに、思わず瞑っていた目を開ける…。…開いた瞼の先に見えていた光景は…、…全く以て…信じられない光景だった。
「な゙っ、あ…!?」
ちょっと待てよ…おかしいだろ!俺の右手にはクマの左手の爪が突き刺さり、腹を掴んでいた指にはクマの牙が食い込んでいて、指に至っては現在進行形でガブガブと噛み砕こうとしてやがった!そもそもこのクマのぬいぐるみには爪なんて無ければ口すら無い。それなのに、コイツは爪で右手を固定して、裂けた口で俺を……食おうとしている…!?
「っ、ぐ、くそ…!一体どーなってやがんだよ!!!!」
痛みなんて感じる余裕もないくらい、俺は焦った。直感で分かる。"コイツは俺を食うつもりだ"!
左手でクマの顏を掴み、口を開けさせようとする。しかしどこに力があるのか、クマは噛み付く力を更に強めて…
ぼギりっ
人差し指の第二関節から先を、食い切った。
「ぐぁ゙あ゙あーッ!!!!!!!」
い、い゙でぇ…!痛い筈の指が無い、指が無い、指じゃねぇ、断面が、断面が痛い!!たった数cmも無い肉と骨に激痛が貼り付いて、俺の呼吸を速くさせる。だけど、痛みに悶えているだけってわけにはいかない…。涙に滲む視界の向こうに、指を飲み込んだらしいクマがまた口を開くのが見えたからだ。クソ!これ…以上食わせてたまるかよ…!俺は歯を食いしばって痛みを堪え、頭を掴んでクマの首を無理矢理後ろに反らせた。突き刺さっている爪が衝撃で動き痛みを増強させたが、これなら少なくともこれ以上身体を食われることもないだろう!あとは、どうやってコイツを引き剥がすか、と、痛みに震える唇を噛む。…が、首を反らせる手に噛み付こうと暴れるクマの顏に意識を集中させ過ぎていた…。クマは俺の手の甲に刺していた爪の先にグググっと力を込めると…ぶちっと音がしそうな勢いで、薄い手の肉を引き千切っていきやがった!
「―――――ッ!!!!!?」
それに怯み、首を反らせていた左手の力が緩んでしまう。
「し、ま゙…っ」
クマはその一瞬の隙を見逃さず口一杯に俺の左手の五本指に勢いよく食らい付くと、空いていた右手で俺の手首の骨を叩き折る。返り血で赤く、他のクマと同じような色に変わっていくソイツを見ながら、俺は
…はっ!?
気が付いたら俺はベッドの上に寝ていて、部屋の天井を見上げていた。…なんだ…翼の部屋の掃除しながら寝ちまったのか?俺…。
「ただいまー…」
と、そこにちょうど翼が疲れた様子で帰ってきた。おーい、翼ー!遅ぇよ!お陰で変な夢見ちまったじゃねぇか。…うぉー、思い出すのもゾッとするぜ…。手から少しずつ食われていって……次に抵抗出来ないように足も食われたんだよな…。ぬいぐるみの小さい口に食われるより、一思いに逝く方がぜーったいにマシだわ!
「…ぬ?おーい、名無し〜?トイレかー?」
翼は部屋に入ってきたものの、俺には気付かないでトイレの方に声をかけ始めた。オイオイオイ…お前仕事し過ぎて疲れてんじゃあねーの?なんでベッドに寝てんのに気付かな……
…あれ?
そういや、なんか声が出ない。…っつか、あれ?身体も、ピクリとも動きやしねぇ…!ど、どういう事だよ!?
俺は内心冷や汗を流しながら焦っていたのだが、翼が「おっ」と言いながらこっちに向かってきたから少しホッとした。なんだよ…やっぱボーッとしてただけか?
「おぉー!いつの間にか赤くなってるのだ!」
うぉわあ!?なんだよ、いきなり抱き上げるなよ!ってかそんな軽々持ち上がるわけないだろ!まさかまた夢か!?
………って…、え…?
翼に抱き抱えられた拍子に視界の端に赤色が映り込んできて、俺は思わず絶句した。いや、赤色だけだったら、何も絶句なんか、しない。視界に飛び込んできたのは……どういうわけか…、……クマのぬいぐるみの、足だったからだ。
…ちょっと待て。ちょっと待て、ちょっと待て…。ちょっと…待ってくれ。
動かない。身体は動かないし声も出ない。
翼は俺に気付いてない。
そしてクマの事…を、……赤くなった、って、言いやがった。
「名無しがなんかやってくれたのか…?」
まさか、と、俺は一つの非現実的過ぎる考えに至った。まさか…さっき俺は、もしかして……"本当にクマに食われた"のか!?
非現実的だ。非現実的過ぎる!だけど容易に思い出せる痛みと、ゾクリとする悪寒は紛れもない本物で……。俺は、声を出せないという事も忘れて翼の名前を"呼んだ"。
翼…っ!翼、翼!!
「うーん、どこ行ったんだー?」
ここだ、お前が今手に持ってるんだよ!!翼ァ!!気付いてくれ…翼…!
「それにしても、いい色になったのだ〜!後で名無しにお礼言おうっと。」
何度呼んでみても、俺の叫びは翼に届く気配もなかった。違う…、このクマは…赤色であっちゃいけねーんだ…!この色は…、……この色は…ッ、俺の…!
グルルルル…
動かない手を伸ばそうとした時、頭の中で低い唸り声が聞こえた。あ、ああ…嫌だ…っ!身体だけじゃなく……意識まで…食われっちま…う………。
《翼は暖かみのあるぬいぐるみを抱き覚めながら、ケータイから名無しの番号を呼び出す。一向に出ない事を訝しく思いながらも、心はどこか穏やかで…愛しい気持ちに満ちていた。》
END
【翼のクマに食われてクマの色になって「いい色になったのだ〜」と何も知らない翼がクマを抱きしめるのを感じながら死ぬ。】
2013.11.13
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