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お試し箱

突然ですが、ものすごく暑いです。
汗が止まりません。

よぼよぼと、おぼつかない足取りで
城内を歩いていて気づいたのですが。

私の家ってとてつもなく大きいのですね。

忍や、乳母や、女中がいたりしたので
とこかのお屋敷かな?と思ってたのですが・・。
まさか、城だとは思いませんでした。
驚きです。

それにしても歩く度に人々の視線が刺さります。
痛いです。とっても。
女中の内緒話も聞こえてきます。

「まだ赤子なのに歩けるの!?」

「まぁ!なんと気味の悪い赤子!」

「奥方様も可哀想に・・。」

「やっと産まれた子が、こんな得体の知れない物だなんて」

ひそひそひそ、子供だから理解できないのだろうとか
思っていて言っているのか、
はたまたワザと聞こえる様に言っているのか
私を見ながら言う姿は、さながら虐めをする女子高生の様です。

しかし、うるさいですよ。
知っています。私の母君が私を産んで
とても喜んでいたのも。
私が赤子として相応しくない行動をして
それを気味悪がっているのも。
憎んでいるのも。
すべて、全て知っています。


良いんです。
別に冷たい目で見られようと
私には、乳母と紅葉がいます。
理解者がいれば、それで良いんです。
多くは、望みません。

ですから、母上。
私に刃を向けないでください。
母上が望むなら屋敷の奥
もっともっと奥でずっと隠れて暮らします。

だから
だから、その憎しみの刃を向けないで。






ああ、はやく
大人になりたい。
だってそうすれば、立って歩くだけで
小言を言われずにすむでしょう?



1歳の夏。

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