お試し箱
一
以前の私の両親へ
私、×× ○○は今、新たな生を得て戦国時代にいます。
一応、それなりに生きています。
生まれる前の話をしましょうか。
私は、現代の平成の世を生きていました。
普通に生きて、両親の恩も貰い
それなりに、幸福な家庭を築いていました。
姉妹にも恵まれ可愛い妹と楽しい日々を送り
学校も心から頼れる友人は、いませんでしたが
苦痛な日々など殆ど有りませんでした。
ぬくぬくと、ぬるま湯に浸かっている
そんな日常を送っていた私への罰でしょうか。
それとも偶然?はたまた必然?
学校帰りに、たまにはと、別の道で帰りました。
そこで、黒猫を見かけました。
黒猫で野良猫なんて珍しい物でもありませんが
気がつくとフラフラとその猫の元へ歩いていました。
バンッ!!という凄い音がしました。
そしたら、意識は、ブラックアウト。
あっけない。あまりにもあっけない死でした。
自分が死んだなど判らぬ程に。
おそらく、道路を走っていた車か何かに轢かれたのでしょう。
しばらく、真っ暗な、何もない世界を漂っていました。
何時間でしょうか、何年でしょうか。
時間も何もかもわからぬまま、ぼーっとしていたら
目の前に光ができました。とても眩しく暖かな光です。
それに触れようと手を伸ばし光に包まれたとたん
『おんぎゃー!おんぎゃー!』
「おめでとうございます!とても可愛らしい女子ですよ」
「よかった、可愛い可愛い童(わらわ)の子」
私は、生まれていました。
いえ、産まれていました。
新たなる母親らしき人物に抱かれ。
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