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お試し箱


『・・・・』

死んだと思った。

桜舞う季節、学校の外に植わる木々を眺め
少女は、歩道を歩いていた。
春の暖かな空気、爽やかな風
ふわふわと心地の良い時間だった。

しかし、その時間も唐突に終わりを告げた。

歩道を歩く少女にトラックが追突したのだ。
運転手は、仕事で失敗し
そのイライラを解消するため酒を飲んでいた。
所謂(いわゆる)飲酒運転だったのだ。

車のフロントは、ぐちゃぐちゃに潰れ
電柱は倒れ、何もかもが血まみれだった。
運転手は、とても焦っていた。
当たり前だ、まさか自分が人を轢くとは思ってなかったのだから。
すぐさま救急車を呼べば少女は、助かるかもしれない。
しかし運転手は、自分を優先してしまった。
助けを呼べば助かるかもしれない命を捨て
運転手は、すぐさま車に乗り走り去った。

死んだ少女は、16歳で高校に入ったばかりだと言う。

犯人は見つからない。
その事実に両親は泣け叫び警察をたいそう恨んだ。
それから月日は経ったが、やはり犯人は見つからないまま。
時効が過ぎ警察は事件を調べるのを止めてしまった。
少女の母は悲しみで精神を病んでしまい。
父には、癌(がん)が見つかった。

そうして少女の家は、なくなっていった。




その後、深い深い山奥で
登山を楽しみに来た二人の男性が
ひとつの白骨死体を見つけた。
鑑定の結果、その人は少女を引いたトラックの運転手だったらしい。
しかし、その事実を少女とその両親は知るはずもない。
すでに亡くなっているのだから。


=あとがき=
何故だかホラー?で始まる。
次の話に関係ないプロローグ。

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あきゅろす。
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