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お試し箱
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○月○日 ×曜日 (雨)

今日、良くない報せを見た。
ニュースで弥子ちゃんのお父さんが
殺害されたって報道されてた。

淡々と現状を報告するキャスターの姿がムカつく。
所詮は、他人事。
お気の毒ですねってお決まりのセリフを言って
マニュアル通りに事を進めて
給料をもらう。
そんなもんだけど、だけど、ムカついた。

その人を知ってるから
殺害された弥子ちゃんのお父さんを知ってるから
しばらく、何がおきたか判らなかった。

だって、だってさ昨日
親子で仲良く話してたでしょ?
笑顔で笑ってたでしょ?
私、見たんだから。

弥子ちゃんに電話しようかと思った
メールとかでも良いかなとか思った
でも、しなかった。

だって今の弥子ちゃんに何を言って良いか判らないだ。
平気?何が?弥子ちゃん。
お父さん殺されて大丈夫?そんな訳ないじゃん。
言われても困るセリフばっかり浮かんでくる

今の弥子ちゃんに必要なのは、時間と
犯人の逮捕じゃないかなって思った。

窓を開けた
ここからだと弥子ちゃんの家が見える。
なぜか鳥人間の姿も見えた
弥子ちゃん家の電柱に乗っている。
たしか前に「謎の匂いがする」って言ってたっけ?
あれ「謎が呼んでる」だった?
まぁいいや、とにかく謎が好きそうだったから
聞こえないと思うけど呟いた。鳥人間にむかって。

『謎は、弥子ちゃんの家にあるよ』
『解けるよね、弥子ちゃんをよろしく』

聞こえたか聞こえないか判らないけど。
言っておいた。
他人任せな私でゴメン。
弥子ちゃん元気になって。
笑顔が素敵な弥子ちゃんが好きだから。

今日は、もう寝よう。
悪夢を見そうだ。





私は、気づいてなかった
私が鳥人間に言った言葉が聞こえてて
鳥人間が私を見たなんて。

「やはり興味深い人間だな」
「あのような人間もいるのか」
「昨日、我輩の真の姿を見ても素通りしていったしな」
「気になるが、今は我輩の腹を満たす事が優先だ」

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あきゅろす。
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