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ようやく本音が重なった。
うつむいたまま放たれた、小さな悲鳴。助けを求めたいけど求められない一本道の少年。
周りは砂漠。平坦な道を進み続けるには、熱いし飽きるしひとりぼっちだ。
道標を教えてあげないと、きっと歩ききれないだろう。
――示そう、新たな道を。
そんなに歩きたくないならさ
そんな道、歩かなきゃいいじゃん。
「そんなの無理だ。嫌でも進んじまうんだ」
そりゃそうさ。
だから、歩く場所を変えればいいじゃん。
「分かれ道なんてない。さっきも言っただろ」
お前、さっきのオレ見てただろ?
道にはもうひとつ、歩める場所がある。それは道無き道――
ケモノミチだ。
そこに道標もなけりゃ、分かれ道も曲がり道もない。全てが選択の時で、それが何処に行くのかなんて誰にもわからない。
「ケモノミチ……」
どこにも着かないかもしれない。けれど、誰かに会えるかもしれないし、景色はきっと変わる。
今は砂漠でもそのうち荒野とか海とか森とかになるかもしれないんだぞ。
オレならそれを、望む。
「……」
さぁて。道標は示したぞ。あとは虎ヶ峰がどの道を選択するかだ。
「俺は」
虎ヶ峰はようやく顔を上げた。その表情は、ひどく戸惑っていた。
「ただ虎ヶ峰を継ぎたくない、父上達と同じ道を歩みたくないから、立ち止まった」
それはまるでどっちを選ぶか迷っているみたいだ。
平坦でつまらなくて、辛い道。
先の見えない過酷で、辛い道。
「今まではその道を進むのが当たり前だった。ほかの道を歩くなんて、考えたこともなかった」
例えば分かれ道で悩む誰か。
何故悩むのか、それすら考えなかった。
「だから、もしケモノミチを進んでも、俺には目的地がわからない。最後には何処へ行きたいのか、わからない」
それでも……。掠れた声で、虎ヶ峰は望む。
「俺は――ケモノミチを進んでいいのか?」
虎ヶ峰はオレの道標に、自分自身の願いに、従おうとしている。
よし、じゃあ、言ってやろう。
オレだって行きたい場所なんか、わかんないさ。みんなそうさ。
行きたい場所は歩きながら決めればいい。だから、
「――お前はケモノミチを行くこと、願っていいんだっ!」
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