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規格外(3)SS
王妃を腕に抱き、眠りについていた王は寝室の扉の前の物音に目を覚ました。
王妃を寝台に横たえ、夜着をまとい帯を締め大股で扉に近づくと躊躇なく扉を開いた。


「ととさま」


二歳になったばかりの、王と王妃の末娘である満月は掛け布を握りしめ、床に引きずりながら父王を見上げた。


「・・・・満月。何事だ」


頻りにしゃっくりをあげながら、涙を浮かべ次から次へと丸い頬をつたい流れる涙を、手で拭いながら満月はも、申し訳ございませんと舌足らずな口調で詫びた。


「おそろしい、夢をみましたの。そうしたら、どうしてもか、かかさまのお顔を、見たくなってしまいましたの。かかさまに、かかさまに、」


王はぼろぼろと大粒の涙を溢す満月の首根っこを掴むと腕に抱き上げた。
踵を返した王の背に、さらに二つの足音が近寄ってくる。
ぱたぱたと軽いその足音に、王はため息をつき振り返った。


「兄様、満月ですわ!やはり母様のところにおりましたのね」


「こら紫月、そんな格好で」


二人とも、夜着に裸足、という姿で駆け寄ってきた満夜と紫月は父王の腕のなかにいる妹の姿に歓声をあげた。
王妃のもとで養育されている満月が、兄と姉に連れられていったはずでどうやら姿のない満月を探しにきたらしい。
王は足元に近寄ってきた紫月の首根っこを同じように掴んで腕に抱き上げ、満夜を寝室に促した。
妹二人を腕に抱く父王に続いた満夜は寝室の扉を閉め、父のあとを追った。

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