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Lv.0-3
 第8というのは俺が暮らしている生活地域(エリア)の通称で、そもそも人が生活できるエリアは12ある。
 エリアは東西南北の区域(ブロック)に分かれ、そこには階級(レベル)に応じた人間が振り分けられる。
 文字通り東ブロックが上流階級で、西ブロック、南ブロックときて北ブロックが底辺となっている。
 ちなみにレベルというのは、この世界に当たり前のようにある『能力』に起因する。
 そもそもこの世界は、全ては生まれ持った資質―――『能力』で、生活水準もレベルも決まってしまう。その『能力』というのは、超常現象を引き起こす力のことだ。
 けれども『普通』の人よりも高く跳躍できたり、速く走れたりする、そんなことも一応『能力』(肉体活性という能力らしい)に分類されるので、一概に超常現象を『能力』というのはおかしいのだけれども、頭のよろしくない俺にはそこらへんはよくわからない。
 勿論、明らかに超常現象を起こすことの出来る能力者もいる。発火能力とか、読心能力とか、はたまた変身能力とか。
 この能力には順位(ランク)があって、ランクが高いほど、レベルも高くなる。つまり富裕層(東ブロック住民)になるってわけだ。
 そしてレベルは0から10までで、東ブロックにもそうそうレベル10の能力者はいないらしい。全エリアで見ても3桁に達しない比率なので、まぁ軽く天然記念物だ。
 ちなみに俺の能力はレベル3ってところ。平々凡々…より若干劣るレベルなうえ、その能力がマックス半径150メートル程度の熱源探知と、レベル2の物体浮遊能力っていう、なんともなぁなものだから、本当にいただけない。
 150メートルなんて、高レベルの能力者なら数秒の距離だし、物体浮遊に関しても、せいぜい10キロが限界だから、持って運んだ方が早いという駄目っぷりだ。なので、住処は北ブロック。
 それに引き換え、俺に近づいてくる件のヤマトは、天然記念物のレベル10能力者だった。
 そして第8エリア最強の称号を持つ、第8の帝王。

 その、本来なら東ブロックにいるはずの男は、何故か、北ブロックの端にいた。

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あきゅろす。
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