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Lv.0-24

「制限時間は10分でどうかなー? 彼方持久力ないから、あんまり長いと不利でしょ?」

 よくわかってるじゃないか。
 その通り、長期戦に持ってかれると、体力のない俺には圧倒的不利だ。
 いや、もともとの実力差を考えたら不利もなにもないんだけど。今まで全戦全敗、それは眼も背けたくなるような惨敗続きだ。

「俺が3分待ってあげるから、その間にある程度遠くまで逃げてー10分間逃げ続けるの。どう?」

 俺はその言葉に必死に生存確率の高い逃走ルートをシュミレーションする。
 3分は意外に短いものだ。というか、普通にやったら俺の3分間で逃げる距離がヤマトの30秒くらいで進む距離と変わらなくなるから、ハンディキャップは貰わないと無理だ。遊びにもならなくなってしまう。
 俺の不安を、ヤマトは読んだように「勿論ハンデあげるよー」と付け加えた。

「『力』は使わないしー、ちゃんと手加減もしてあげる。俺優しいでしょ」

 優しいやつはそもそもこんなことしない、とは言えなかった。思っていてもな。言ったらそれすら覆されそうで恐々としていたせいだ。

「10分間逃げ切れたら彼方の勝ち、今日のところは我慢してあげるー。でも俺が勝ったら俺の好きなようにさせて」

 ね? と同意を求めるように言われて、俺はうぐぐ、と言葉に詰まる。
 恐ろしい、恐ろしすぎる提案だ。
 そもそも大抵の場合、こいつには追い掛け回されて捕まって押し倒されて暴力か陵辱、もしくはどっちもというコースを辿るのが常な俺は、それに素直に頷くのは躊躇われた。正直に言えば、いつもと変わらん、である。
 で、あるがしかし、万が一、奇跡という可能性が俺には眠っている(かも知れない)。
 というか、それに頷かなければ、再び指は俺の穴に逆戻りだろう。うう、それが嫌なら頷く他ないじゃないか。

「…わかった」

 俺は喉奥から搾り出すように同意する。それ以外に選択肢がないからな。しかたなく、だ。
 すると「うん、『約束』ね」とヤマトは嬉々とした声で返してきた。
 俺はそれに、しまった、と思うも時既に遅し。

「『言質』頂きましたー、アハー」

 憎ったらしい笑顔のヤマトがそう宣言していた。
 『言質』、それは人を従属させる言葉の制約だ。約束は違えようのない強制力を持って人を縛ることになる。ヤマトの能力の強み。

「テ、テメェ謀ったな!」

 俺はあまりの怒りに口調も荒くヤマトに食ってかかる。

「謀ったなんて人聞きの悪い、『同意』を得たんだってー」

 けれどもヤマトは飄々と返してきて、俺の脳血管は破裂寸前である。
 つまり物は言いようだ。伊達に言葉を操る能力者ではない、ヤマトの口の上手さは異常だ。勝てたためしがない。

「あー今から楽しみー、何してもらおうかなー。最近サボリ気味だからフェラのスキルアップしとく? 上の口も素直に躾けないと俺、泣きそうになるしさ。あ、でも上に乗って彼方から腰振ってもらうってのもいいなぁ、自分の指突っ込んで『ヤマト入れて』っていってもらうのもいいー。あはーいっぱいある」

 むしろ全部やってもらおうかなーと零したヤマトに、俺はなにがなんでも逃げなければならなくなった。むしろ、今のって明らかに自分が勝つの前提の話だったよな? こいつ、殴ってもいい?

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あきゅろす。
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