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Lv.0-17*

「ヒッ」

 俺はその動きに、忘れかけていた抵抗を思い出してヤマトのその悪戯な手を引き抜こうとする。
 しかし、片手は既にヤマトの手の内にあり、唯一自由なもう片手では、背中側から滑り込まれたヤマトのその腕を上手く掴めない。

「は、はなせ…! いやだ、気持ち悪い!」

 俺は喚いてヤマトの指を尻から離そうとするが、ヤマトはククッと喉を鳴らして笑うと、ますます俺の尻へ指を滑らせる。
 乾いたままのヤマトの指先が、それより高い温度と湿度を保っている粘膜に触れる。
 不安と恐怖と幾許かの混乱で冷や汗をかいている俺の肌はヤマトのそれよりも温度が高く、毛穴から噴出した汗がヤマトの指先を湿らせ始めるのも早かった。

「っや、やめろ、指はなせ!」

「やだね、我慢してたんだからいいだろ」

 「それはお前の都合だ!」と叫べば、「彼方だって溜まってるだろー? すっきりしよう」と指をゴリゴリと穴の上とか下とかその微妙な場所に押し付けてきた。

「すっきりしない! すっきりできない! はなせこの変態!」

 俺は必死になって頭を振り、ジーパンからヤマトの手を引き抜こうともがく。
 手首に爪を立ててそのまま引っ掻けば、俺の短い爪はヤマトの皮膚を破って赤に染まる。ガリリと猫のように必死に引っ掻いて腕を抜くように訴えかけるが、鼻歌さえ歌い出しそうなご機嫌なヤマトは一向にその笑みを崩さなかった。誰かどうにかしてくれ。

「うぅ…っ、はなせよこの野郎…!」

 俺も流石に泣きが入る。ここまで弄られたら後がないことを俺は身をもって知っている。
 このままでは本当に9割9部9厘の確率でやられる。やられてしまう。くそう、残りの1厘の確率に賭けてみたいが賭けるべき知恵がない。俺が今後を憂いているうちにも、ヤマトの非道は続く。
 指の腹の部分が堅く収縮したままの穴の入り口、皮膚と粘膜の境ともいえる柔らかい部分に密着したまま離れなくなった。俺の体温で温まったヤマトの指の生温さが、吐き気を増長させる。

「死んでしまえっ」

 俺が憎々しげに吐き捨てれば、ヤマトは無言で指先に力を込める。
 ぐぷっと入り込みそうになった指の腹はしかし、俺の恐怖を煽るように半ば入ってから直ぐに引き戻された。
 膝が笑ってくる。恐怖と動揺と混乱と、その他諸々の感情のせいだ。

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