Lv.0-16*
とにかく、ヤマトのそんなふざけた言動一つ一つが俺の癇に触る。むしろヤマトの存在自体が俺の不機嫌発生装置だからどうしようもない。なにもせずともひとの気分を降下させるなんて、それはそれで凄いやつだが、自分事となれば鬱陶しいことこの上ない。
俺はじろりとヤマトを睨みつけるが、案の定、にっこり微笑まれて相手にされやしなかった。
そのくせ、拘束した手首に篭る力は抜けることなく俺を苛む。痛いのは嫌いなのに、と俺はその痛みに顔を歪ませる。もうずっと歪みっぱなしの俺の表情筋が筋肉痛を起こさなければいいんだけど。
そんな俺の心配を他所に、ヤマトは「あー…」と嘆息する。
「なんか彼方が突っ込むとか突っ込まれたいとか卑猥なこと言うからマジで突っ込みたくなってきたー。だめ?」
だめに決まってる。というか、一部、ヤマトに都合よく捏造されてることに気付いて俺は慌てて口を開く。
「ダメだっつうの! もう断固拒否! 絶対拒否! むしろ突っ込まれたいなんていってない!」
その反対、絶対突っ込まれたくないっていってんだ!
そう、駄目駄目と一気に息切れ寸前まで叫んで俺は全身で拒否反応を示す。
しかし、示されたヤマトは「彼方は素直じゃないからなー」と取り合いもしない。しまった、駄目なのはこいつの思考回路だった。
そしてもっと駄目なのは、そんなヤマトから逃れる方法を思いつかない俺の可哀想な脳味噌と、どうしてか一つに集中するとすぐ他への注意が薄れて気を抜いてしまう俺の身体だ。
そんな駄目出しばかりの俺に、ヤマトは追い討ちをかける。
「こっちは素直に躾けたのに、どうして上の口は一向に素直にならないかなー」
こっち、という言葉と共に、俺のジーンズのウエスト部分からするりと入り込んだヤマトの手が、その中の下着の更に下を―――肌の上を這って俺の尻を掴んだ。
それはまさに一瞬の出来事だった。
パキン、と、金属の弾ける音が俺の耳に届いた時には、既に安価ゆえにサイズの合わない緩いジーンズを俺の腰に止めていたベルトの留め金が弾けて消えていた。
そしてそれに「あ」とも言えぬ間に、緩んだ布の隙間から先ほどまでは布越しだったヤマトの指先が、今度は直に肌を擦って、尻の割れ目から降下した。
「っちょ」
ちょっと待て、と言う間もなく、ヤマト曰く素直に躾けられたらしい―――俺は俺の名誉のために断固として否定するが―――尻の穴にヤマトの指の腹が押し付けられて、俺は背筋をピンと伸ばした。
ッハと息を詰め、ヤマトへの怒りと、経験則から滲み出るこれからの恐怖に、俺は眦を赤く染めた。
少しでもヤマトが指先に力を込めれば、いとも容易く俺の尻の穴はその肉襞を押し拡げられてしまうだろう。不自然に俺の下半身は力んだ。尻の筋肉が小さく痙攣する。その小さな揺れに乗じてヤマトの指先がグルリと俺の尻の入り口の粘膜を擦った。
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