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月陰の輝き
18

あまりに突拍子のないことを言われた驚きで俺は一瞬固まったが、すぐにその質問の意味を理解しようと頭を動かし始めた。

いやいやいや、でも「狙ってる」って何だ。話の流れからいうと俺が恋愛的な意味であいつらを狙う、ってことか? なぜ、どうしてそんな考えになるんだ。さっきのは王子の恋の話であって、俺は当然だが王子のように同性愛者じゃない。

隊長は相変わらず俺の反応をにやにやしながら待っているようだ。その顔に何だかいらっとした。またからかわれているのかもしれない。

「変な冗談やめて下さいよ。狙うとか何とか以前に俺はそんな趣味ありませんから」

顔を引き攣らせつつ、はっきりと否定の言葉を口にした。しかし、「冗談だよ」と笑いとばされるかと思いきや、隊長は意外そうな顔をして言った。

「へぇ、趣味じゃないか。お前さん、案外理想が高いのか? あいつら、あれで隊の内外でも結構モテるんだがなぁ」

「……は? モテる?」

「あぁ。二人とも顔がいいし仕事も出来るしな。双方とも違ったタイプの魅力でかっこいいって評判なんだよ」

「はぁ、まぁ確かにイケメンだとは思いますけど……」

それよりモテるって何だ。隊の内外って、隊内には男しかいないように見えるんだが。
何だかおかしい。会話が噛み合ってないというか、根本的に何か噛み合ってないような気がする。その疑問を口にしようとしたが、隊長は特に気にすることなく話を続けた。

「まぁ、お前さんも気をつけることだな。あいつらを慕ってる奴らには、お前の存在は面白くないと思うやつもいるだろうし」

「気をつける……?何に?」

「……お前さん意外と鈍いのか?」

呆れたような表情をされた。しかし、そんなこと言われてもなぁ。もう埒が明かないので、気にかかっている事を一気に尋ねてみることにした。

「ちょっとすみません、そもそもあいつらがモテるって所から疑問なんですが。あ、いや普通にモテるでしょうけど、この隊内には男しかいないでしょう?」

どういうことなのか、という視線を送る。しかし俺はこの点について若干嫌な想像が浮かんでいる。信じたくないが、聞いたことがある。男ばかりの集団においては時に。

「当たり前だろ。だから、男にモテるんだよ」

「ってことはやっぱり男同士で?」

隊長は俺の発言に不思議そうな顔をしながらも頷いた。たしかに、男同士の集団では同性愛が流行するということを聞いたことがある。嫌な予感が当たってしまったことに、やっぱりかと大きなため息を吐くと共にうなだれてしまった。


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