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月陰の輝き
3

とにかく、暖かくて横になれる場所へ美月を移そう。

しかしこんな場所にはやはり民家など見当たらなくて、俺は仕方なく先ほど来た森に戻った。

森には大小様々な木々があり、木の下には木の葉が沢山落ちている。上手く風よけになるような大木の根本に木の葉を出来るだけ集め、その上に美月を寝かせた。簡易ベッドというにはかなり貧しいが、ひとまずは美月にこれで我慢してもらおう。

「あとは……」

そうだ、美月はまだ濡れた衣服を来ていた。これでは冷えて悪化するばかりだ。俺は美月のシャツを脱がし、そのシャツの水気が切れるように強く絞った。そしてそれをタオル代わりにして美月の体を拭いていった。

さて、あとは俺の服と交換すればひとまずはいいかな。

しかし、この時俺はあまりに無警戒であった。
あるいは、よくわからない場所に来たことと、美月の突然の高熱に平常心を失っていたのだろう。どんなに穏やかに見える森であっても、危険な野生の動物などがいるかもしれない。それを頭の片隅にでも入れておくべきだったのだ。

そう、気づかなかった。俺のすぐ後ろに何かの気配が迫って来ていたことに。

俺は素早く振り返ろうとした。
しかし……

「動くな」

若く張りのある男の声だ。そう認識すると同時に、ひゅっという音が耳をかすめる。顔の横には鋭く細長い鉄の板。

「……っていうか剣!?」

顔を動かさず横目で見れば、よく漫画やゲームで見るような西洋剣だ。
え、なぜ俺は人に剣を向けられてるんだ?
そんなことされる理由が分からない。そもそも剣?本物の剣?


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