焦り 幸村sid
一瞬自分でも何してるんだって分からなくなって
でも君がまた俺の時みたいに他の男を簡単に部屋に入れてほしくないと思ったんだ
君はさっきみたいに笑ってなくて、内心焦ってるのがわかる
正直、このまましちゃおうかなとか、いい眺めとか考えたけど今そんなことしたら君に嫌われてしまう気がして…
それだけはさけたかったんだ
でもこのまま放すのは惜しかったから
「大丈夫。今日は襲ったりしないから」
そう言って抱きしめた
その後君は固まっちゃって
どうしたのかと思ったら
あんな事言うから・・
仕方が無いじゃないか
君が可愛すぎて
こんなことしてる自分に自分でも驚いてるんだから
しばらくして、俺がウトウトとしていると君は急に起きあがってベランダに出た
俺は気になってベットからずっと見ていた
最初、君はあの横顔で・・でも、だんだん様子が変わって、、絶望に満ちた顔・・なんて言うか・・目がすさんでいった
すると、君はベランダの手すりなんかに手を伸ばすから俺は慌てて君を抱きしめたんだ
「海里!!」
俺は自分でも驚くくらい焦っていて、大きな声を出した
だめだだめだダメだ!!!!!
そんなこと、絶対ダメだ!!!!
君は知らない。俺がどれだけ今焦っているか。
君が・・君が消えてしまうのは嫌なんだ!
君のことが・・君が好きだ!!大好きなんだ!!
大切なんだ!!
これが恋愛感情の『好き』なのか・・それとも仲間としての『好き』なのかはまだ分からない。
でも、君がいてくれなきゃダメなんだ!!
俺は一言一言に気持ちを込めて・・でも、説得するように強く、、君に言った
すると、、君は泣いてしまって
すごく・・今まで辛かったのが痛いほど伝わってきた
俺じゃ君のその心の傷を治して上げるのはできないかもしれない。
でも、、泣き場所くらいにはなれるから・・
君の声がだんだん小さくなった時、ベットに連れて行ってまた抱きしめた
俺から逃げないように
消えてしまわないように・・・
しばらくすると君は規則的な呼吸をし出して眠りについていた
「ん・・・」
君がたまに発する言葉にすごくドキドキして・・愛しさがわいた
朝、俺はいつものように目が覚めた
多分他の部員達はまだ寝てるような時間
俺はいつも早く行って打つのが日課になっていたから
隣の君は可愛い寝顔でまだ寝てて
夜、色々あったし、こんな早くに起こすのは少し可哀相だったからもう少ししたら起こそうと思って上半身を起こして服を脱ぐ
すると、昨日着る前に見た服よりもやっぱりのびてしまっていて苦笑いをした
制服を着ようと俺の荷物に手を掛けると隣から声がした
「行かないで・・ごめんね・・ごめんなさい・・」
その声は昨日、君が話してくれた時と同じ声でどこか悲しそうだった
そして俺の脳裏に夜の出来事が駆け抜ける
その声を聞くと胸が締め付けられて・・だから早いけど君を起こしたんだ
声を掛けても君は寝ぼけてて
それならちょっとくらいイタズラしても良いかな・・とか思って鎖骨にキスしてみた
君は思っていた以上に顔を赤くしていて
また『可愛い』とか思ってしまった
君の支度が遅いからキッチンにおいてあった食パンを焼いておいたら君はすごく驚いて、でもそのすぐ後に笑顔になった
その笑顔は・・俺のこと信用してくれたんだと思って良いよね・・?
少しは・・心を開いてくれたんだよ・・・ね?
コートに付いたら君はまた1人で全部やろうとするから外の仕事くらいは・・と思って引き受けた
俺の方の仕事が終わっても君はまだ終わらないみたいだったからいつもみたいに1人で打っていた
しばらくして君がコートの端に立っているのが見えて
すぐに話しかけようとしたらまた、あの顔でコートを見てるから
この間君の壁打ちを見て本当に少ししか打てないんだと知っていたけど
君が『打ちたい』『コートに立ちたい』って顔をしていたから誘ってみた
そしたら君はパアァと喜びがあふれた顔で笑ってテーピングをすませ俺の前に立った
その笑顔は昨日見た『ありがとう』とか感謝の笑顔じゃなくて子供みたいな無邪気な可愛い笑顔だった
俺は一応手加減して打っていたんだけど君の球は思っていたより速くて重くていつの間にか本気になりかけていた
そんなときふと時計を見るとみんなが来るギリギリの時間になっていてラリーをやめて君と2人で片付けをした
片付けが終わると同時にブン太が君に抱きついて胸なんか触るもんだから俺の背後から黒い何かが出そうだった
するとふと気になる事があった
「雅治ー!何丸井君にさせてるのよ////!!」
『雅治』??
でもその後君は
「なに幸村君まで加わってるのよ!?
『幸村君』
俺の方が君に近いのになんだか仁王の方が君と近い距離にいる気がして
君にとってはあんまり関係ないことかもしれないけど俺にとっては結構重要なことで・・・
だから思わず聞いてしまった
俺が昨日のことを話すとブン太の顔からだんだんと笑顔が消えていって
そこで俺はブン太が海里の事を本当に好きなんだと確信した
それは仁王も同じだったみたいでお腹を抱えて笑っていた
ブン太がね。ふーん。
初めて2人があった時そんな気はしてたけどまさか本気だったとは思わなかった
ここは・・一線ひいといた方がよさそうだな
俺は君の腕を引っ張り、額ににキスをした
その時の君の顔も可愛くて他の部員に見せるのが惜しかった
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