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合流
「海里ーブン太ーあーそーぼー」

ドアの外から聞こえてきた声に、私とブン太は顔を見合わせて笑った。




「遊びに来たわけじゃないんだけど……昨日のトランプと言い、みんな結構色々持ってきてるよね」
数字のカードを捨てながら誰にというわけでなくつぶやく。
すると、すぐにこたえが返ってくるのと共に、ゲームのまわりが少し早まった。

「主に仁王くんですがね」
「プリ」
「あ、UNO」
「精市はやい!」
「と、見せかけてドロートゥー」
「ドロートゥー持っててよかった」
「ドローフォーだ」
「俺も持ってるぞ」
「後でみんな覚えておいてね」

精市の笑顔が消えた顔に、頬が緩む。
そして、精市が集中攻撃を受けたおかげで私はすんなりと上がることができた。

その時だった。
部屋に、ノックの音が響く。

「あ、私でてくるね」
「よろしくおねがいします」

集中しているみんなを邪魔しないように、そっと輪から抜けて、ドアを開いた。
そこには
「こ、こんばんは」
忍足謙也と白石君がいました。



「なにか用か?」
真田君がゲームをやりながら、素直に声をかける。
言い方によってはとても冷たいが、彼なりにはそんなつもりはない言葉選びだ。

それをわかっていてか、白石君は笑顔だ。
「なんや楽しそうやなあ。俺らも入れてくれへん?」
「却下」
笑顔の精市が少しくい気味に答える。
それにいつものメンバーと私は小さく笑った。
「(幸村君て結構子どもっぽいよなー)」
「ブン太うるさい」
「何もしゃべって……あ、はい。すんません」
ブン太が何を思っていたかは、なんとなく察しはついていて。
他のみんなも精市に何か言われないように心を無にして一度口を閉ざした。

そして、小さく息をついてから、私と柳生君が説得する意味を込めて精市に笑顔を向ける。
「ま、まあせっかく合宿に来たんですから他校との交流も、ね」
「そうそう」
その言葉にか、精市は呆れたため息をひとつついてから、「わかったよ」と小さく答えた。
少し固まっていた白石君と忍足謙也は精市の返答にホッと一息ついてから部屋の輪の中へ入っていった。


「あ、白石君」
「ん?あ、大丈夫やで。おとんに『個人的に』頼んできたから」
「……そう。ありがとう」
「海里何話してるの?」
「精市!?あ!や!なんでもないよ」
「……ふーん?」TLDR


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