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漫画

「海里、大丈夫か?」
食堂からみんなででると、柳君に聞かれる。その問いに「何が?」と私はきょとんとした目を向けた。

「一番最初の罰ゲーム。あれはあれで面白かったけどうちのマネージャー巻き込むのやめてほしいよな〜」
ブン太が私の隣に足を進めながら言う。それにやっと私は「あぁ」とさっきのことを思い出した。

「関西のノリのなか生きるのも大変よね……」
「そこか。まぁあれは白石のおかげで面白いノリでなんとかなったよなー」
「そうだね。にしても、よりによって忍足謙也で私にあの話題ふるのに驚いちゃって、あっけにとられちゃった」
小さく笑いながらそういうと、今度はみんながきょとんとする。みんなの疑問に答えるように私はそのまま続けた。

「ここにいる中で、唯一princessの顔を知っている忍足謙也は一番私に好意を持つわけがないもの」
そう素直に、率直な意見を述べると、みんな複雑そうな顔をした。

「それはどうかのう……」
「今のお前で接したことがあるなら、多分関係ないと思うぜ……」
「えっ私ってばそんな魅力的?やーだー雅治とブン太ってばあー!」
きゃーっといいながら、二人の背中をばしばし叩くと、背後から真田君にチョップされた。

「調子に乗るな」
「冗談じゃなーい」
唇と尖がらせて言うと、精市がしかたがないな、というようにため息をついた。

「でもね、ちょっと嬉しかった」
ぽつりとつぶやくと、全員が硬直して私を見ている。
それを少し疑問に思いながらも私は続ける。

「人前で、冷やかされるって、がっくんやジロちゃんに借りた漫画みたいだなーって!
少し憧れてたんだよね!今まで学校生活とかの恋愛とは無縁だったからさ!」
両頬に手を置き、またきゃーと言うと、硬直していたみんなは呆れたりホッとした表情をしてまた歩き出した。

「驚いた……」
「今のは少し心臓に悪かったぞ」

「え、どうかした?」
「いや、なんでもない。それにしてもお前さん漫画読むんだな」
深いため息をついてから雅治が少し驚きを含めつつ、楽しそうに私に話を振った。

「家にはなかったし読んじゃだめって言われてたんだけど、よくがっくんやジロちゃん、あとたまに亮が、私と景吾に読ませてくれたんだ」
「ふーん。漫画、好き?」
「うん!」
「なら今度うちこいよ!いっぱいあるぞ」
「本当?!」
ブン太の誘いに笑顔で「いくいく!」と何度もうなずく。
すると、他のメンバーも楽しそうに会話に混ざってきた。

「ほぅ。楽しみじゃなあ〜ブンちゃん家」
「そうですね」
「漫画か…俺も興味があるぞ」
「ならみんなで行こうか」

「え、俺は海里を……」
「みんなでお邪魔するね」
「……はい」
肩を落とすブン太をよそに、私はみんなで行くブン太の家を楽しみで仕方がなかった。




「どんな漫画読んでたんだ?」
「頭のいいクラスとスポーツクラスが別れてる恋愛学園ものだったり、あとあとテニヌ!」
「テニヌ?」
「なんかね、テニスじゃありえない技ばっかりだから『テニヌ』って呼ばれてるんだって」
「……そうか」TLDR


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あきゅろす。
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