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よろしく

景品は変更になったことに安心していたのだが…

「俺、一発芸だけはやりたくない」
「なら暴露やな」

どうやらあたりの話からすると最下位の罰ゲームはやるらしい……。

「よろしくね。忍足謙也」
「あ、あぁ。よろしく」
ぎこちなく笑う忍足謙也に私はくすりと笑う。

「忍足謙也は両校の部長から期待されているから頑張って。」
「プレッシャーかけんといて。ただでさえあんたとペアってだけで、そっちの部員と白石からのプレッシャーで押しつぶされそうなんやから…」
困ったように笑ってみせる忍足謙也の表情は、なんとなく侑士とかぶった。話の内容よりも一瞬そこに集中してしまい(やっぱり似ているな…)なんて内心でつぶやいてしまった。

「まぁまぁ。言っておいてなんだけど、そんなの全部気にしないで強くなるためではあるけれど、楽しもう」
「…せや、な」
ふわりと笑った忍足謙也に安心して、私たちは初戦のコートに向けて歩き出す。

「そしてね、楽しむのももちろんなんだけど…」
「?」
声のトーンを低くして私は真剣な顔で忍足謙也をみる。

「初戦敗退だけはなしね。絶対。身につくものがあれば敗退もありだとは思うんだけど!罰ゲームだけは!なし!」
ラケットを脇に挟み、両腕をグーにして力強く言う。
すると、忍足謙也はきょとんとしていた顔から吹き出すように笑った。

「了解しました」

そう震えた声で答えた忍足謙也は、侑士とは重ならなくて。
『忍足謙也』だった。


私がただの氷帝の生徒だったのなら、もっと早くこうして笑いかけてもらえたのかな……

TLDR


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あきゅろす。
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