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コツッコツ
靴を鳴らせ、俺は古びた図書館に訪れる。
何でもいいから、すがりたかった。
子供ですらやらない方法でも、全てを試しておきたかった。
『仁王、運命って…信じる?』
いつだったか、そんな話を今はなき彼女にされたのを不意に思い出してから、俺はここに駆けた。
運命
なんてものは信じる気なんてない。
でも、もしもそれが本当に実在しているのなら、神も存在するのではないのだろうか。
そして、その対になる存在も…。
一年のときに柳生に付き添ってきたこの図書館。
あいつが本を探している間暇だった俺は探検がてら、誰も足を踏み入れないのではないかというほどの奥の本棚へ行った。
そこで、ある本を、見つけた。
「っあった」
そのときの記憶を頼りにそこへ向かうと、あの時と同じそれがまるで俺を待ち構えていたかのように堂々と本棚に立っていた。
これをはじめてみたときは、信じる気はしなくも、面白いものがあるな、と思った。
でも、手に取る前に柳生の用が済んでしまったため、それは見つけるだけで手に取る事はなかった。
それを今度は何のためらいもなく手に取る。
そこには流れるような筆記体で書かれた
『Black Magic』
の、文字。
どちらも変わらないとは思うけれど、まだ『白』の方が良かったのかもしれない。
なんて遠くで思いながら、俺はその本の表紙に手をかけた…
どうしても
何があっても
あの、
幸せな時間(とき)を取り戻したかった。
俺にとって、お前らは何よりも、
自分よりも大切な存在だから…。
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