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慈郎編9

「ね、ねぇ慈郎くん、やめよう?
危ないよ」

「危なくなんてないよ!
ほら!」
彼女の手を引いて僕は駆け出す。

僕だけの、じゃなかった彼女。
だったら、僕が彼女の初めてをいっぱいつくって、彼女の一番になれば良い!

そう思って、僕は彼女が行きたがっていた駄菓子屋さんへ彼女を誘った。
でも、彼女は首を横に振るばかりで…

だから半場強引に僕は彼女の手を引いて、SPに見つからないように学校から連れ出した。

「ねぇ、慈郎くんってば!
だめだよ。危ないの!」
そう言う彼女は本当に不安げで…
でも、でも、僕はどうしても連れて行ってあげたかった。

だって、そうすればきっと君は笑ってくれると、
あの笑顔が見れると思ったから…

「危なくなんてないってば!僕、いっつも通ってるもん!
あ、見て!」

そういって、塀の上にいる猫を指差す僕に、彼女は一度口を閉じてそちらに目を向ける
すると、「うわあ」って小さくもらして、目をきらきらさせた

「あの子だよ、いつも話してる三毛猫のミケ!」
そう言うと、彼女はいっそう笑みを深めた。

あぁ、それ。
僕が見たかったのはその笑顔だ

ミケを見てこんなに笑ってくれるのなら、きっと駄菓子屋さんについたらもっともっと可愛く笑うんだ
思わず口角のあがる僕はまた、彼女の手を引いて足を踏みだした。
そうしたら、彼女は我にかえったみたいにハッとして、また不安げな顔になる。

「慈郎くん、危ないの!だめなの!」

「だから、平気だってば!」

「そうじゃないの、だって、私…」
彼女が言いかけた刹那、

僕たちの前に5人の大人が立ちふさがった
すぐそこには、車

なぜだか、背筋が凍った


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あきゅろす。
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