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慈郎編3


「「ご馳走様でした」」
そう二人で笑顔を合わせて声を響かせた。

「慈郎!これから、中庭行こうぜ」

「うん!」


中庭には、僕らの秘密の場所がある。
沢山の木の策に囲まれて、入れないと思われてる大きな木の下。
がっくんと探検してるときにたまたまみつけた抜け穴のおかげで入れた、気持ちのいい芝生と日当たりの良い、お気に入りの場所だ

「んーっやっぱここは静かでいいなー!」

「うん〜。
でも僕、がっくんは騒がしいほうが好きなんだと思ってた。」

「確かに楽しい空間は好きだけどさ、慣れない勉強ばっかしてるとたまには静かな場所で休みたくもなるって」

「あー、そっ…か…ぁ」



「ん?おい、慈郎寝たのか?じーろーうー!…たく…。
…ふわぁ…俺も、ちょっと眠くなってきた…」





ガサ、ガサ


遠くで、木の掻き分けられる音がする。
あれ…ポカポカの太陽が、隠れちゃった…




SPを景吾とまいて、そっと会って。
見つからないように人気がないところを探検して遊んでいると…

「うわあ…!
けーご!景吾!」
「どうしました?」

そこには、


天使がいました


「天使がいるわ!」
「はぁ?天使?」



大きな木に頭を預けて、すやすやと眠るふわふわの頭の子と、綺麗な髪色の子。
なんともかわいい男の子達。

私は瞳を輝かせて、その子たちを見つめた。

「み…princess」

「分かってる。
でも、起きるまで。かわいいんだもの」
そう、優しい笑顔で言うと景吾は仕方がない、というように小さく息を吐いた。

「それに、この子」

「芥川がどうかしましたか?」

「! この子知ってるの?」

「えぇ。芥川慈郎。隣のクラスです。」

「へー…慈郎君、か。
今日ね、目が、合ったの」

「!」

「身内と優斗とそれから景吾と侑士以外で初めて。」
寂しい気持ちが隠しきれなくて、そう小さく言うと景吾はギュッと手を握ってくれた。
大丈夫だよ、そう答えるように私はその握られた手に力を込める。

「でもね、すごく目が…」
言いかけて、私は口を閉ざす。

「景吾、なんだかお昼寝したくなっちゃった!
私たちも…」
「だーめーでーす!」
遮って、景吾が私の頬をふに、と力を込めずに摘む。

「えー」

「『えー』じゃありません。
そろそろ行きますよ」

「…」
私は唇をとんがらして、景吾に手を引かれるまま足を踏み出す。
すると、そんな不満げな私に気づいたのか、景吾は一度足を止めて私にポケットから出したものを差し出した。

「あ、飴!」

「陸斗様と奥様達には秘密ですよ?」
いたずらをするようにシーっと人差し指を立てて、無邪気に笑う景吾に私は満面の笑みを見せる。

滅多に食べれない、『普通』のお店で売っている飴。
それは私にとってはとっても貴重で、こうして景吾にもらうか、たまに優斗がくれるかしか入手手段がなかった。

それを私は大切に自分のポケットにしまった。

「うん!」




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あきゅろす。
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