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「好き、です」

ふるふると、震えるその腕
俯きがちにギュッと瞑られた瞳

あぁ…
なんて愛おしいんだろう

「ごめん…」








「ゆーきーむーらー」

「…んー?」
部室で帰る準備をボーっとしながらしていると、不意に仁王に呼ばれた。

「お前さん、ここ最近ずっと『心ここにあらず』って感じぜよ…?」

「あー。
…ごめん、すぐに切り替えるから」
眉を垂らせて笑いながら、俺は鞄のチャックを閉める。

そうだ。
さっさと切り替えないと。
俺は、レギュラーになったんだから。
試合に出られない先輩の分も、頑張らなくちゃ…

「…。
卯月に告られたんじゃろ」
その言葉に、俺はビクッと自分でも驚くほど反応した。

「なんでフッたん?
お前さん彼奴のこと…」
「ごめん、今日急ぐから」

そいつの言葉を聞かないように、俺は鞄を肩に掛け、ドアへと向かう。
けれど、
「逃げるのか?」
その足はまたそいつの声で止められてしまった。

別に、そんな風に言われたって構わない。
そう思っているのに、なんで俺の足は止まっているのだろう…。

「俺はお前さんが思っているほど彼奴は弱くないと思うぞ」

「…弱くない、からだよ」
俺は小さく呟いた…。




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あきゅろす。
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