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Deadline45


部屋へ、まともに言葉を交わさずにあがる。
約束をするのは『部活が終わってから』、というのは、付き合いだした当初からの暗黙の了解で。
だから、外からは暗い赤が差し込んでいた。

彼は、今日、どんな想いで部活に参加していたのだろう…。
そう疑問を持つものの、考える前に、

「…海里…海里…っ」

『あの』、幸村君が脳裏にちらついてしまって、それ以上…考えたくはなかった…。



「…」


ただ、長く感じる沈黙。
あまりに、静かなのは、幸村君の家族がいないから。
『今』いないのではない。今日と明日は帰ってこないのだと、ずいぶん前に幸村君が言っていた。

「朝から、一年目を祝おう」、と。


「幸村君、」
そう、彼に向ける時には、外から赤の色が消えていた。

私の声を聞くと同時、彼は、背後からまたギュッと抱きしめる。

いつだったか、仲の良い私と仁王に怒った幸村君がこんな風に余裕なく、引っ付き虫になったことがあった。
彼はいつも大人で、だけど、人一倍寂しがりやで、一途で、人に頼る事が大の苦手で。
だから、こうやってくる時は、本当に1人では無理な時。

…このまま、会わなければどうなっていたのだろう、と、また遠くで思った。
もし、耐え切れず、他の子に、助けを求めていたら…と、泣かないように力を込めているというのに、涙が浮かんでしまう。


「海里」
不意に聞こえた、絞り出すような、声。

何度も告げられた、愛しさの含むその名前。
それだけでも涙があふれそうになってしまうのは、彼への愛が大きすぎるから…?

「ごめん、ね。」

『ここ数日』

そう言葉にならなかったけれど気持ちを込めて言う。
きっと、言葉にならなかったのは他の謝罪の意味がどうしても含まれていたから。

私の言葉を聞くと同時に、背後からまた強く抱きしめられる。

この体温が好き
この香りが好き

「海里」

この声が、好き

「愛してる…っ」


あなたが、


「わた、し、も
だよ…」


すき




この腕に君がいる、ただそれだけで良かったんだ…TLDR


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あきゅろす。
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