Deadline44 どうか、 彼を、 大きすぎる闇から 救ってください 私には、無理みたいだから… 早く会いたい 駆け出したい でも 逃げ出したい。 沢山の想いが入り交ざる中、私は生きている間に何度も訪れた、最愛の人の家へと歩みを進める。 しばらくして、懐かしさを感じるそこが目に入ると、…同時にその最愛の人をも目に入った。 あれから、携帯を見ていないけれど、ちゃんと…届いていたようだ。 …外で、待っていてくれたんだ…。 そう、胸がしまるのを、抑え、私が一歩踏み出すと、その人も私に気がついたのか、こちらに駆け出してきた。 会いたかった その想いと、大きすぎる不安が私を襲う。 でも、彼の表情を目にすると、前者の想いですぐに占められた。 だから、かな。 私も、知らぬ間に駆け出していた。 お互い、近すぎる距離で足を止める。 冬の静かな世界に聞こえるのは、お互いの荒んだ吐息。 目を合わせたまま、時が止まり、次第に彼がまるでもう会えないかと思ったというように、不安な表情に変わっていく…。 それに私は、胸のうちで 「 」 呟いてから、ニコッと、彼が好きだといってくれた笑顔を向けた。 …これは、心からの笑顔。 弱い私に、今、ただ、笑顔を作る事は出来ない。 だから、 「大好きだよ」 いつも、本心から告げていた言葉を、表情に託した。 気づいたときには、細身で普段から綺麗だと感じていた彼からは想像出来ないような、厚い胸板が目の前にあって。 頭の後ろと腰には、どこか懐かしく感じる、大好きな大きな暖かい手。 あぁ、 救う事が出来なかった と、遠くで思った…。 強い、強い、力。 もう離さないとばかりに閉じ込められて、想いがあふれてくる。 それは、まるで 「…海里…海里…っ」 私が彼の前から消えてしまったことを覚えているかのようで…。 また、この手をすり抜けてしまう事が辛くて、私も手を回す。 力いっぱい、しがみついて、思うことが許されない想いを、身体に託した…。 確かめるような もう、逃れられないその腕の中 私は、胸のうちで小さく呟く 『こんなに、私たちは愛し合っているのに、』と…。 震えた声が何度も私を呼んだ 後悔なんてないのに、 したくないのに、 彼に会う度に 別れを知らしめられる度に 私は… TLDR [←][→] [戻る] |