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なんでだろ・・
やっぱり眠れない

布団をそっとどかして
私は音を立てないようにベットから下りた

下のベットからは静かな寝息が聞こえる

そんな姿に、
私は眉を垂らして小さく告げる


「ごめんね」


何に対しての物かは、ハッキリとはわからない
けれど、全てを話さない自分が・・嫌で・・心苦しかった




何か飲んで落ち着けば、眠むれるかと
私は部屋を出てロビーの自販機へ向かう

する、と
「お?海里か?」
そこには、

雅治の姿

「消灯時間過ぎてるよ」

「お互い様じゃ」
笑った雅治は自販機のボタンを押す
そして、それに続いて私もボタンを押した

缶の蓋を開けて、二人並んでソファに座る

静かなのに、なんだか・・落ち着いた


「眠れないの?」

「あぁ
お前さんもか?」

「うん・・」
目を合わせず、お互い空(くう)をみつめる

そんな中、私は焦点をハッキリさせて、雅治にむく
「雅治、今日の試合・・手、抜いたでしょ」
わざとっぽく怒ると、雅治はキョトンとしてから笑った

「ばれたか」

「伊達に毎日見てませんよ」
またお互い視線を合わせずに、
でも、今度はボーとするわけでもなく、笑っていた

「雅治って、ここ!って時、手抜くよね」
言うと、雅治は飲み物を口に含む

「レギュラーとか、そんなんはええんじゃ
ただ・・楽しみたいだけ」
そう言う雅治は・・どこか切なそうだった・・

・・雅治は・・精市や真田君に及ばずとも、充分強い
でも、『部内』という小さな枠の中で勝利を得ると
なにかと、周りが変わってしまうのは確かだ

だから・・
雅治は自分の‘今’の居場所を大切にして・・勝利を得るのを拒んでる・・


「それよりも」
少し間を開けて、雅治は振り返る
「お前さんの使った『魔法』が知りたいのぅ」
含んだ笑み、

「『魔法』?」

「足」

「あ、」
みんな、
気にしてくれてるんだ

一瞬固まる私に、雅治はフッと息を吐く
「『伊達に毎日みてないですよ』」
引用した先程の私の言葉
それに私は吹くように笑う

「そっか
でも、みんな心配しすぎ

本当に、大丈夫だから」
クスクスと笑って、立ち上がると、私はゴミ箱へ缶を放り込んだ
それに続いて雅治も缶を捨てる


その時


「っ!?」

ガクンッ

膝から力が抜け、私は雅治に倒れ込んだ
足が小刻みに震えているのが分かる

薬の、ッ副作用・・!

瞬時に理解する私
隣では、雅治が慌てている
「海里!?」

っだめ、迷惑かけちゃ・・

「みっ」
「なんか、眠くなっちゃった
おやすみ」
彼を振り切るようにそう言って、私は部屋への帰路についた
送るようにして雅治が心配しながら何か言ってくれてるが、頭がうまく回らずに、私は曖昧な返事ばかりをした気がする・・








部屋に付き、すぐにベットに入る

「〜っ」

声を殺す私

多分痛みはそれほど今までと変わらない
でも、半日でも痛みを忘れていた私には少しきつかった

さらに、

どんだけ疲れた身体してんのよ・・っ

身体が休もうとしているのか・・体中から力が抜け、すさまじい眠気に襲われた
歯を噛み締めていなければ多分今頃意識はないだろう・・

「っはぁ・・っ」
重く息を吐いた

今、手が開いているのか閉じているのかすら分からない中、
私は歯を噛み締める力すら奪われかける・・

暗闇に引きづりこまれるように、じわじわと奪われていく力・・

なんだかそれが無性に怖くて仕方なくて
私は枕元においた薬を遠くなる意識の中、すがむように見つめた


大丈夫、
だよ・・ね





いっそこのまま・・すべてが夢でも良いのに

そう考えている私が・・
小さくもいた気がする

TLDR


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