[携帯モード] [URL送信]
横顔 幸村sid

ブン太が振動止めを無くしたって騒いでたから仕方なく、下駄箱を探していると君に話しかけられたんだ。



...横顔...




最初、なんだかもじもじしてるから自分で言うのもアレだけど俺のファンクラブの子かな なんて思って無視してた。

そうゆう子のせいで今テニス部はマネージャーの入れ替えが激しくてみんな練習に集中できないから、正直イライラしてた。

その子は確かクラスが一緒の卯月って子でクラスでは結構おとなしい方。

そんな彼女が
「あの・・幸村君・・だよね?何か探してるの・・?」
ってたどたどしく聞いてきて、めんどくさいから適当に笑って見せた。

すると彼女は少し顔を赤らめた。


・・この子もあのマネージャーの子達と一緒だ

そう思ったけどそのまま無視するわけにもいかず
「うん。振動止めを探してるんだ」
って答えておいた。

本当だったらしっかり説明してあげるんだけど、あえて『振動止め』と言った

大抵の子はここで「振動止め?」って聞くんだ
だからそう聞かれたら答えてあげないつもりでいた

でも彼女は
「振動止めか。どんな形の奴?よかったら手伝わせて?」
と聞いてきた。

あれ・・?なんだか知ってる口調だな・・

と思って聞いたら案の定経験者だった
でも今は靭帯をやってしまってできないでいるみたいだった

話を聞いてて、なんだ自業自得じゃんとか思ったけど
その話をしている君はなんだか今にも泣いてしまいそうな・・壊れてしまいそうな横顔だったから・・ついマネージャーに誘ってしまったんだ

本当なら君が泣こうが関係ないけど、なんだかほっとけなかったんだ

もしかしたらマネージャーとしてテニスを間近で見ている方が辛いかもしれない
でも遠くから見ているんじゃなくて近くで少しでもテニスに触れていた方が良かったきがしたから・・



その後、色々話していたら仁王に部活へ強制送還された
俺も、仁王の気持ちがよく分かる。。

けど・・彼女の横顔が本当に辛そうで、痛々しかったんだ・・・






次の日、テニス部の1年生を何人か呼んで彼女を推薦してみた
だけど仁王が
「今までの奴らと同じじゃ」
と言ったら真田とブン太が頷いた

柳生は困った顔してるしジャッカルも苦笑いをしている
「てか、あいつどんな奴なんだよぃ」
ブン太が聞くと蓮二が説明をしだした

「名前は卯月 海里。身長157cm体重4じゅ「わーーーー!!ちょっとストップ!!!!!!」ん?」

体重に差し掛かったところで耳まで真っ赤にした彼女が止めに入ってきた


うん。きっとこれが普通の反応なんだと思う


けどみんなは「なんだコイツ」みたいな顔をして彼女を見ていて、、、

彼女と蓮二が話していると横から仁王が冷たく席に戻るよう言った

その時、彼女はすごく辛そうな顔で謝って席に戻ってしまった


なんだかそれが俺は残念に思えて仕方がなかった






移動の授業が終わって戻ってきたら机の中に小さな袋が入っていたから何だと思って開けてみた

そしたら中には昨日見つけられなかったブン太の振動止めが入っていて、あの後君はすぐに帰ってしまったんだと思ったから正直ものすごく驚いた

お礼を言おうと思ったらチャイムが鳴ってしまったから授業中ずっと君を見ていたんだ

なんだかすごく嬉しくて
君ともっと一緒にいたいと思ったんだ
だから・・やっぱり君にマネージャーをやってほしいんだ



授業が終わり君にお礼を言った後、斜め後ろに仁王が居るのを知っていながらもう1度君を誘ってみたんだ

するとブン太が来てさっきまで彼女のことを反対していたのに、なんだか仲良く話していた

彼女が笑うとブン太の顔が赤くなり、きっとブン太はもう反対しないなと確信して、でも反対する人が1人減ったのが嬉しいはずなのになんだか胸の奥が痛んだ

そしてブン太が
「海里」と呼んだ時なんだかうらやましく思えた




ブン太がいなくなり、もう1度話しを戻すと今度は仁王に邪魔された

俺は仁王の言葉を全部言いかえした

ともかく何でも良いから君にマネージャーとして近くにいてほしかったんだ

仁王がいなくなったあと君はまたあの辛そうな顔をしていて、胸が痛んだ

なんだろう?君はなんでそんなに辛そうな顔をするの?

そう、過去に何かあったようなそんな顔・・・。




その後、何度も君と話そうとした。
でもクラスが一緒なのに何故か会えなくて、、

俺はそんな中途半端な気持ちのまんま部活に行ったんだ


部活も中盤に差し掛かったところ今日2本持ってきたはずのラケットが1本無くて
俺は探し回っていた

そしたらフッと、さっき女テニのコートに先生に頼まれた書類を届けに行ったことを思い出した

ああ。きっとあそこだ

俺はすぐに女テニのコートに向かった





そしたらそこには君がいて、、、
切なそうに、、あの壊れてしまいそうな横顔で女テニをみていた


そう言えばテニス部に入りたくてこの学校に来たって言ってたっけ・・


すると君は俺の置き忘れたラケットと飛んできた女テニのボールを持って校舎の裏へと行ってしまったんだ


俺は慌てて追いかけると校舎の裏で君は壁打ちをしていた

最初はすごく楽しそうに打っていたのに激しくなるに連れ、君の顔は歪んできて・・


とうとう崩れるようにして座り込んでしまった



俺はすぐに出て行って
「大丈夫?」
そう声を掛けようとした・・けれども君が泣いているのが見えて、、
なんだか出て行っちゃいけない気がしたんだ・・・






しばらくすると、ラケットとボールを持って君が近づいてきて、俺は慌てて近くの茂みに隠れた


隠れなくても良いのに、、、でもなんだか今あったら君を傷つけてしまいそうな気がしたんだ・・・





[←][→]

5/127ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!