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真剣勝負












相手が慣れてきたところで・・

そう心で呟いたとき、相手が左に踏み出したのを見て小さく笑う

「(みーぎ)」

「(っ!?
こいつ・・っ遊んでやがる・・!)」

さすが全国区とでも言うか・・
彼は素早くターンをしてぎりぎりラケットにボールを触れさせる

すると、そのボールは浅く高く上がった

「(きた)」
そう語尾にハートをつけながら小さく言葉にして、私は前へと素早く足を動かす

そして、


空(くう)を舞う



パンッッ


その効果音と共にボールは去っていく

と、同時に私は足を地に着ける・・が、


パサ・・


「「「あ」」」

カツラが落ちた


・・あーあ
ま、


いっか


周りの反応なんて見向きもせずに私はカツラを拾い、ついでに眼鏡も取る
そしてそれをベンチへと投げた

相手も、試合に夢中だったのか・・
それとも精市達が言ったようにもうすでにばれていたのか・・
苦笑いを1度してから
位置へ足を運んだ


すると、
「あ、アウト!」

審判台にいる向こうの学校の生徒がそう声に出した


・・え?


あれは確かにインの音だった
初めて使ったコートだろうが・・私がインとアウトの音を間違えるはずがない

一瞬、審判に反抗しようとも思ったけど、
雰囲気を悪くしたくなかった


・・あーあ、
本物のストレート勝ちはもう出来ないや・・


15(フィフティーン)すら取らせないで勝とうと考えていた私は、なんだかちょっとがっかりしながらも位置へと足を進めた


と・・、

「おい、ちょっと降りてこい」
向こうの選手が審判を下ろした

「え、」
それに驚いて、私は振り向く


「あ、は、はい!」

「ここ、よく見ろ
ボールの後はどこにある?」

「え・・
あ・・!
す、すみません・・っ」
選手が指さしたのは私の打ったボールが跳ねた場所・・

そこにはくっきりとボールの跡がついていた


「いや、本当は真実がどうであれ・・
審判が正しい。
公式試合ならお前は自分の意見を突き通せ」

「はい」

「でも・・
悪いな。

今回の試合だけは抗議させてくれ
俺は・・
この子から自分の力でポイントを取りたい」

言って、審判台にその子を戻すと選手はこちらを向いた

「悪いな。
まだ1年なんで目が慣れてないんだ」

「・・いえ」
片眉を垂らして言ってきたその人に、私は小さく笑みを漏らした

「でも、残念。
1ポイントもあげる気、ありませんから」
挑発的に振る舞い、私はもう一度位置に着く
目の前では「望むところ」とその人は笑っていた








そろそろ試合を終わらせようと思ったけど・・
もう少しくらい・・遊んでも良いよね?TLDR


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