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海里

「思い、出した…
やっぱり、あの子…」





「げ、ゲームセットアンドマッチウォンバイ立海リーズ6ゲームストゥー0」




一体、何が起こっているんだ…?


この空間にいた人間の時間が…
ある1人を除いて



止まった















「海里、本当に…」

「だいじょーぶだって!」
心配そうに私を見てくるみんなに、そう笑顔をかけて私はコートへと足を踏み入れる

そして、ラケットを両手で握り、瞳を伏せた


しばらく使ってあげてなくて…ごめんね
…また、宜しくね。








「っはぁ、はぁ!幸村!」

「! はい」
ボーラーに入り、海里を見つめていると息を切らせた部長にフェンス越しから声を掛けられた

「卯月は・・
!っやっぱ、もう入っちまったか」
しまったと言わんばかりに顔をしかめる部長
その視線の先には…
相手とフィッチをしている海里の姿、

「どうしたんですか…?」

「俺の考えがはずれて、今卯月と一緒に入ってんの…あっちの1(ワン)だ…」

「!」
その言葉に俺は目を見開いた
この3年間、四天宝寺は個人戦共に上の大会へ行っている
その中でも、1人…
個人の全国大会に行ったと聞いた

1人…つまり、1(わん)、だ
そんな人が相手なんて…

「部長、すぐに交代を…!」
言いながら俺は海里に視線を向けた

否、向けようとした

が、


ガシャンッ




俺の真横を黄色い球体が通り抜け、それよりも狭いフェンスの穴をも
それは通り抜けていった


その瞬間、
俺は言葉を無くし…
部長もまた、

いや…、
その試合を見ていたメンバー全員が…

言葉をなくした




シンとするその場


息をのむ音だけが全員からかすかに聞こえた




そんな中、向こう側のコートからは小さくクスリと笑う声が耳に届いた




「すいません、
手加減できそうにないや…」



俯いて…でも口角をあげて、海里は目の前まで持ってきた自分の震える手をギュッと握りしめた







覚醒TLDR

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あきゅろす。
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