疼き
向こうのコートには誰も来ていないのを良いことに、私は集中するため、頭にタオルを乗せてベンチに腰を下ろした
・・集中
深く深呼吸をする
そして、ベンチから立ち上がって、頭にかけていたタオルをどけた
足は・・
懐かしいくらい、痛みを感じなかった
久々に、本気でいく
私は目の色を変え、口角をあげた
向こうのコートに入ってきたのは、
3年生、
私は無言で口角をあげた
・・楽しめそうね
握手をすまし、向こうのサービス権
パンッ
いい音を鳴らせて、飛んできたサーブは思っていたより早い
さすが上(の大会)に行くだけあるね
でも、
スパンッッ
「え、」
私がラケットを振り抜いた瞬間、相手はそう小さく漏らし、その後ろでは四天宝寺の他の生徒も同じ表情をしていた
そして、そこを遮るフェンスにはシュルシュルと音を立て、黄色い球体が挟まりながら進んでいた
私はと言うと
あまりに懐かしい感覚に身震いし、両手を握りしめた
テニス、だ
私、今テニスしてる・・っ
嬉しさのあまり、涙すら出てきそうで・・
でも、
「コートの中では絶対に泣いちゃ駄目だ
絶対に」
彼のその言葉を思い出し、その時とは違う涙だけれども私は唇をかみしめて涙をこらえた
すると、今まで黙っていたギャラリーの1人が口を開いく
「嘘、だろ・・
部長は、うちの1(わん)や、で
あんな1年に・・」
・・へー、
この人、ここのワンなんだ・・
じゃぁ、リハビリついでに色々と付き合って貰おうかしら
“princess”の血が騒ぐ
やはり彼ほどの実力者は・・ここにもいないTLDR
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